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【政府・金融庁のスローガン】「貯蓄から投資へ」は、なぜ進まない?

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「貯蓄から投資へ」と言われるようになってから随分と時間が経ちますが、現実はなかなか進まない状況です。日本の個人金融資産は1,700兆円もの莫大な金額になりますが、その内訳の半分以上にのぼる51.7%が現金や貯蓄にあたります。それに対し金融資産構成のうち株式や投資信託が占める割合は、12%ほどしかありません。

保有資産のうち、有価証券比率の向上を目的に掲げられたスローガンではありますが、これがなかなか進まない理由は何でしょうか?投資をしようと大々的には叫ばれていながらそれが前進しないのには、日本独特の構造や文化が関係しています。

理由① 日本の株式市場の低迷

まず日本で投資の姿勢が普及しない理由として、投資自体の魅力が個人に伝わっていないということがあります。
海外では幼稚園くらいの頃からお金について考える時間があり、家庭や学校でも積極的に投資教育がされます。しかしながら、日本ではそのような教育はほとんどされておらず、自分の資産を投資に回そうとしても、何から始めればいいのかわからないということも少なくありません。

そのために、どうしても資産運用をするとなると、もっとも有名で安全な貯蓄という選択をする方が多く、自然と投資を行う方の割合は減ります。
貯蓄に関しても、日本の銀行の金利は0.01%というきわめて低い金利になりますが、海外を見ると高い割合の金利の定期預金などを提供する銀行も多く見受けられます。それが知られていないというのも、日本人が投資に関する教育をほとんど受けていない証拠と言えるでしょう。

・株式市場の低迷
株式市場に関して言うと、過去20年間で日経平均株価は約55%下落、10年間では約4%も下落しています。これまでに日経平均株価は4万円近くまで上がった時期もありますが、現在は2万円に届かない程度と、およそ半分の価格になってしまいました。

この数字だけを見ると、株式に挑戦しても長い時間をかけるほど資産を減らす可能性も高くなり、リスク性資産として元本割れの危険もあります。結果として、個人投資家の参入を減らすことになってしまいます。
このような状況のなかでは、資産形成をするにも損失を出しやすく、資産運用で株式を行う方が少なくなるのも不思議ではないことです。

また、バブルと呼ばれた時代の日本では銀行が中心となって金融システムを行う間接金融方式が採られ、高度経済成長に大きく寄与しました。この時期のうち、ちょうど日経平均株価が4万円近くと最高値を更新したときは、株式の保有割合も20%近くまで高まったのです。やはり株価が上昇する期待感のあるときであれば、自然と株式へ投資する個人投資家も増えていく傾向にあります。

最近では、2005年から2007年にかけて日経平均株価が12,000円から18,000円へと上がった時期があり、このときも株式へ投資する方は増えました。

理由②新興国の台頭

新興国の台頭もまた投資へのうまみを少なくすることにつながり、結果として貯蓄への割合を増やすことになります。

多くの個人投資家はいざ株式などに投資しようと始めると、高値での株式などを掴まされてしまい、その後は株式が反転し急落するのみで大損をして、二度と投資などしないという悪循環を招くこともあります。

これは新興国の台頭とも関係していることです。通常は成長期であれば右肩上がりにそれらの国の株式や債券も値が上がっていく可能性が高いでしょう。しかしすでに国が成熟してしまっているとなると、投資を始めても高値を掴まされることになり、やはり大損をして、投資をしなくなるということになります。

新興国が高度成長する時期であれば、うまくその波に乗って大きく儲けることも可能です。しかしすでに十分な成長をとげたとなると、新興国へ投資すれば簡単に儲けられるといった考えは通用しなくなってしまいます。

ただしこのような状況の国でも、賢く逆張りで投資を行えば、高値で売って安値で買うといった方法で大きく儲けられる可能性も出てきます。

理由③過剰な円高

たとえば株式を考えるにしても、人は買いでポジションを持とうとする場合が多く、初めて投資を行う方が空売りで儲けようなどと考えることは少ないです。このために株式ならば、円高になるよりは円安が進む方が、特に投資初心者は儲けやすいと言えます

投資の1つとしてFXがあり、日本人が使う通貨ペアとしてもっとも有名なのがドル円です。
そんなドル円は2011年の終わりから2012年の初め頃、一番円高が進んだ時期には1ドル75円という値になります。2007年頃は1ドル120円を超える値になったこともあったため、2011年には円高が進んでいきました。

もちろん政府も介入を行いましたがそれでも円高は止まらず、どこまで進むかという状況になっていました。このようななかでは、FXで買いポジションを持ったとしても、多くの方は円高によって損失を膨らますことになります。
つまりは、大損をして二度と投資をしなくなるということになります。

ただこちらのドル円に関しても、2015年にかけて円安が進み1ドル120円以上もの値になったので、2007年にドル円を買っていれば、大きく儲けられた可能性もあります。2007年から2015年にかけては円高が進む前の状況まで戻り、ドル円を買うだけで利益が出るという、初心者にも儲けやすい相場環境ができあがっていました。

このようにして株式や投資信託、FXの損失を出しやすい状況になったことで実際にマイナスの値を出す方も多く、相場から撤退し投資への割合を減らすというのが、「貯蓄から投資へ」と進まない理由とも言えます。
それでも、このような相場のなかで大きく儲けた投資家の方も多数います。やはり原因の根本にあるのは、「日本人が投資に関する勉強をしていない」ということがあると察せられてきます。

理由④日本の財政悪化

「貯蓄から投資へ」、これが進まない理由を知るため、日本人の財政形成の状況を見てみましょう。日本人の年代別平均貯蓄額は以下のようになっています。

20歳代 : 189万円
30歳代 : 494万円
40歳代 : 594万円
50歳代 : 1,325万円
60歳代 : 1,664万円
70歳以上 : 1,618万円
(「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯)」2015年11月5日公表より)

金融資産の8割近くは、50代以上のシニア世代が保有します。
この結果は、高齢化による人口割合の変化と、資産を退職金に依存することが原因です。

30代や40代は子育て世代となり、マイホームや教育資金に資産が使われます。しかしこれらの大きな支出があるにも関わらず、一般的にはこつこつと資産を形成するというよりも、退職金や相続で一気に金融資産を形成するのが普通です。

これでは若い世代の場合、投資に回す資金の余裕はなくなるでしょう。また多くの方が老後への資金形成のためにリスクを取りたくないと考えるあまり、資産を安全な貯蓄に回すことになります。ただし貯金をするにも税金はかかるもの。一部非課税制度の対象となる方もいますが、貯めるのにしてもお金が出ていくとなればますます投資への意欲は湧きづらくなります。
こうして、自然と投資への割合は減っていくのです。

それでは、退職後の世代の方は退職金や相続金、個人型確定拠出年金などの年金により豊富な資金を得て、それを投資に回すことは可能でしょうか?
残念ながらこれには無理があります。

今まで貯蓄をメインとして投資をしたことがないという高齢の方や、同じように投資でのリスクを負った経験がない高齢の方に今すぐに投資しろと言っても、何から始めればいいかわかりません。ましてやもうすでに退職して勤労所得のない世代となるので、そのような世代に起こりうる投資に関するリスクがあれば、できるだけ避けたいものです。

日本の株式市場における海外投資家の割合は6割とも言われており、この数値を見てもいかに日本人の投資家が少ないかがわかります。現在の日本は働き方も終身雇用が少なくなってきており、契約社員やアルバイトでの採用も多いです。

そのため働いて収入を得るということすら不安定になってきており、万が一のときに備えるためにも、仕事での収入以外の手段を得ないとなりません。その1つとしてあるのが、株式やFXなどの投資での収入であり、「貯蓄から投資へ」へと言われているのです。

日本は今後「貯蓄から投資へ」の割合を増やせるのか

「貯蓄から投資へ」と叫ばれるようになってかいくらから時間が経っていますが、状況はなかなか変わらず、貯蓄の割合は多いままです。それは日本の状況として、投資への教育が十分でないために投資に興味を持つ方が少ない、投資を行っても損失を出してしまい、もう二度と手を付けない方もいるということがあげられます。投資=難しい・リスクが高いものという固定観念を覆すなにかがなければ、「貯蓄から投資へ」の割合を増やすことは難しいでしょう。

 

まとめ
  • 「貯蓄から投資へ」の動きは進んでいない
  • 日本人は投資になじみがなく、教育もされていないのが原因
  • 投資にする教育機会を増やす、失敗がリカバーできるうちに投資の経験をする、魅力的な投資環境と安定した金融システムを政府などが作るなどの対策が求められている

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