いくらもらえるか不安!気になる厚生年金受給額かんたん計算方法とは
何かと話題になることが多い年金。
自分が年老いて受給権者となったとき本当に貰えるのか、貰えるなら一体いくら貰えるのかなど、いまいち不透明な部分が多い年金制度に、漠然とした不安を抱えながら生活している人はたくさんいます。
今回は、多くの方が最も気にされているであろう年金の受給に関して、受給額の計算方法をメインに解説します。
これを読んで不安を払拭しましょう。
Contents
厚生年金と国民年金の違い
まず、紛らわしい厚生年金と国民年金の違いを説明しましょう。
国民年金は基礎年金とも呼ばれ、加入対象は20歳~60歳と定められており、20歳に達した国民は60歳になるまで必ず加入しなければならない年金のことです。
保険料額は収入に関係なく年度ごとに一律であり、平成30年度の月額保険料は16,340円となっています。
保険料がみな同じなので、受給額は加入期間によって決まることになります。
これに対して厚生年金は、サラリーマンなど労働者として社会保険適用事業所に雇用されている人が加入する年金です。
保険料額はその人の報酬額によって異なり、事業主と折半する仕組みになっていて、受給額は加入期間と報酬額によって決まります。
厚生年金に加入している人は国民年金ももらえる
厚生年金は国民年金に上乗せされる年金であり、厚生年金加入者は国民年金と厚生年金を受給するようになります。
要するに厚生年金と国民年金は横並びの関係ではなく、国民年金がベースでありその上に厚生年金が乗っていると理解しましょう。
厚生年金の保険料の金額を確認していますか?
厚生年金に加入している方は、自分がいくら厚生年金保険料を支払っているか知っていますか。
実は厚生年金保険料は、給与計算の際に給与や賞与から天引きされており、給与明細書に明記されています。
天引き項目としては、厚生年金保険料や健康保険料や労働保険料などと合わせた「社会保険料」と記載されている場合もあります。
厚生年金保険料は、標準報酬月額に保険料率を乗じて算出されるのですが、この標準報酬月額は、大きく分けて次の機会に変更されます。
- 資格取得時決定
- 定時決定
- 随時改定
「資格取得決定」とは、社会保険に初めて加入する際の標準報酬月額の決定をいい、社会人として初めて会社に就職した時や、転職して新しい会社に就職した時などに行われます。
「定時決定」とは、1年に1回行われる標準報酬月額の見直しのことで、4~6月の3ヶ月間に支払われた報酬により算定されます。
「随時改定」とは、大幅な昇給や降給があった場合には、定時決定による標準報酬月額と実際の報酬が大きく離れてしまい不公平であるため、2等級以上の差が生じた場合に随時改定をする必要があります。
厚生年金と国民年金の受給額
厚生年金が国民年金の上乗せである点から分かるように、その受給額には大きな差があります。
厚生労働省が公開している平均月額の実績は、厚生年金147,927円、国民年金55,464円となっており10万円近い差があります。
高齢者となり、それほど多くの生活費が必要なくなったとはいえ、国民年金だけではとても生活していけないことが分かります。
■厚生年金保険・国民年金事業の概況 平成28年度|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/H28.pdf
厚生年金は男女で金額の差が大きい
厚生年金の支給額は、加入期間や報酬額によって左右されます。
よって、結婚や妊娠出産、介護などのライフイベントが仕事に直結しやすい女性は、男性に比べて受給額が少なくなる傾向があります。
前述の平均額から計算した厚生年金の大まかな男女の受給額は、男性は約16万円、女性は約10万円となり、女性は男性の6割程度の受給額しかありません。
しかし、厚生年金は個人差が大きい年金ですので、これはあくまでも目安として捉えておきましょう。
厚生年金受給額のかんたん計算法
それでは、ざっくりとした受給額を知るための計算方法をみていきましょう。
加入期間と給与の平均で計算
受給額は厚生年金の加入期間と、その加入期間中の平均給与額があれば簡単な計算をすることが可能です。
算式で表すと次のようになります。
平均給与額×生年月日に応じた乗率×加入期間
加入期間については、会社の勤続期間と同じになるため、自分で確認することが可能ですが、加入期間中の平均給与額については計算が難しいため、年金事務所に確認するしかありません。
日本年金機構のホームページには、簡単な条件を入力するだけで受給額の見込み額を試算してくれるサイトがありますので、気になる方は利用してみましょう。
また、もし決定された年金に不服がある場合には、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内に、社会保険審査官に審査請求することができます。
■年金見込額試算 | 日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/n_net/n_net/estimatedamount.html
H15年4月から賞与を含んだ総報酬で計算
平成15年4月から「総報酬制」が導入され、それまでは平均給与額の計算に含めていなかった賞与を含めることになりました。
平均給与額=賞与を含めた年収÷12カ月
これにより平均給与額が増えますが、同時に乗率が減らされたので、支給額にはほとんど影響ありません。
加入期間20年を越えると加給年金がプラス
加給年金とは次の要件に該当する場合に、老齢厚生年金に加算して支給される年金をいいます。
- 厚生年金の加入期間(被保険者期間)が20年以上であること
- 65歳未満の配偶者、18歳到達年度の末日までの間の子、1、2級の障害の状態にある20歳未満の子のうちいずれかがいること
加給年金を貰うためには届出が必要となります。
配偶者の年齢によっては、年間40万円近く加算される場合もありますので、届出を忘れることのないように注意しましょう。
万が一の遺族年金について
万が一、一家の大黒柱の被保険者が死亡した場合には、残された家族の生活は一転します。
特に金銭面においては突然貧困状態となる場合も多いでしょう。
そのような状態になることを防ぐために、年金制度には「遺族年金」という頼もしい制度が設けられており、一定要件に該当する場合には、残された家族に年金が支給される仕組みとなっています。
遺族年金には2種類ある
遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類で構成されています。
平成27年9月までは遺族共済年金を含めて3種類でしたが、同年10月に遺族厚生年金と一元化されました。
妻や子供の年齢によって受給金額が変わる
遺族年金は妻や子供の有無、それぞれの年齢によって遺族基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせが異なり、それに応じて受給額も異なってきます。
区分 | 支給対象者 | 子供の有無 | 子供の年齢 | 遺族年金の組み合わせ |
国民年金加入者 | 妻 | 有 | 18歳未満 | 遺族基礎年金 |
厚生年金加入者 | 妻 | 有 | 18歳未満 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 |
40歳未満の妻 | 無 | – | 遺族厚生年金 | |
40~65歳の妻 | 無 | – | 遺族厚生年金+中高齢寡婦加算 |
遺族基礎年金は、子育て中の家族の生活を支えることが目的であるため、子供がいない場合には支給されません。
被保険者が国民年金加入者で子供がいない場合、妻には遺族年金が支給されない点に注意しましょう。
ただし、このような人の救済制度として寡婦年金や死亡一時金という保険給付がありますので、要件に該当する場合は受給しましょう。
■寡婦年金|日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/1go-dokuji/20140422-02.html
■死亡一時金|日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/1go-dokuji/20140422-01.html
どのくらいの金額が受け取れる?
【遺族基礎年金】
平成30年4月~基本額は779,300円と定められており子供の数に応じた金額が加算されます。
- 1~2人目…各224,300円
- 3人目以降…各74,800円
■子供が2人の場合
779,300円+224,300円×2=1,227,900円
■子供が3人の場合
779,300円+224,300円×2+74,800円=1,302,700円
【遺族厚生年金】
本来被保険者が受け取るはずであった厚生年金の4分の3に相当する金額です。
退職前に年金額を計算して、豊かな老後のマネープランを
年金は現役を引退した後の貴重な収入源です。
年金の受給額は、老後生活の充実度を左右するといっても過言ではないでしょう。
年金制度の良い点は、自分が支払っている年金保険料をしっかり把握することができ、必要な都度年金受給額を試算して確認することが可能なところです。
現在は年に1回、誕生月前後に年金定期便も届きます。
年金は玉手箱のように突然現れるものではありません。
自分で前もって受給額を知り、計画的で豊かな老後を迎えましょう。