【日本の給与体系】中小企業の社長の年収や給与の決め方など徹底解析
今よりも年収をアップさせるために、社長になるという選択肢があります。
社長になるには昇進するか、あるいは自分で起業して社長になるという二通りの方法があります。
昇進できそうならそれに越したことはありませんが、そういう見込みがないなら自分で企業をするのが早道ですね。
社長は会社の責任者となるため担うものも重く、決して楽ではありません。
しかし、やりがいや達成感はしっかりと感じることができるはずです。
ここでは、社長になりたい方に役立つ情報を提供します。
社長の年収や給与の決め方についてまとめるので、ぜひ参考にして下さい。
Contents
中小企業の定義
会社法や中小企業基本法など、法律によって中小企業の定義は変わります。
ここでは中小企業についてあらためて確認しておきましょう。
日本の会社の90%は中小企業
中小企業の社長になれば、大企業の社員よりも高い年収が得られるので、あえて最初から中小企業を狙う人もいます。
職探しが難しい地方での起業もでき、高年収が狙えるのは魅力です。
ところで、大企業と中小企業はどのように見分けるのでしょうか。
日本の会社の90%は中小企業といわれていますが、中小企業の定義はいったい何なのか気になると思います。
中小企業の定義は、各法律や支援制度によって多少異なるため、少しややこしいのですが、ここでは「中小企業基本法」での定義を述べたいと思います。
業種ごとに「資本金の額または出資の総額」「常時使用する従業員の数」が、以下のように関わっています。
製造業・・・資本金の額または出資の総額3億円以下。常時使用する従業員の数300人以下。
卸売業・・・資本金の額または出資の総額1億円以下。常時使用する従業員の数100人以下。
サービス業・・・資本金の額または出資の総額5,000万円以下。常時使用する従業員の数100人以下。
小売業・・・資本金の額または出資の総額5,000万円以下。常時使用する従業員の数50人以下。
繰り返しになりますが、以上に挙げたのは中小企業基本法における中小企業の定義です。
中小企業の定義は制度ごとに多少異なるため、中小企業関連の法律や制度を活用する際には注意が必要です。
非上場企業であるということ
中小企業の定義として、非上場企業であることが挙げられます。
株式を上場するとはどういうことかというと、株式を一般公開し、出資者を募るということです。
それら出資者からの出資によって企業運営が行われるので、それなりのルールや条件をクリアしなければなりません。
上場の条件としては、経営の健全性、事業内容の開示適正力、事業の高い収益力と継続力などが求められます。
そのような大企業は日本の企業の1%に満たず、ほんの一握りです。
中小企業は株式上場の条件に当てはまらない企業だということになりますが、だからといって力不足だということではありません。
実に、日本の企業の90%以上は中小企業であり、日本経済の土台を成しているのです。
中小企業の社長の年収は?
中小企業が役員報酬を発表することはありません。
ここでは、役員報酬を推察してみましょう。
役員報酬と給与の違い
ここで、気になる中小企業の社長の年収について徹底解析しましょう。
産業能率大学の「新入社員の会社生活調査」によると、いずれ社長になりたいと思っている新入社員は年々減少しています。
2016年の調査では社長を目標とする新入社員の割合は9.5%と、ついに1割を下回りました。
とはいっても、ほぼ11人中1人の割合で社長を目指す新入社員がいるということになります。
それに、社長志望の新入社員が減少傾向にあるということは、それだけあなたに社長になる機会が大きく開かれているともいえそうです。
ここでは、そんな、社長を目指す方が気になる年収についてお話します。
まず、企業の内部で働いている人に対して「役員報酬」と「給与」という二種類の報酬があります。
役員報酬とは、法人税法上「役員」という立場にある人に対し、会社が支払う報酬のこと。
それに対して給与とは、従業員が労働の報酬として会社が支払う、基本報酬と諸手当を含んだすべての支払いです。
役員は一般に残業手当を含む諸手当は無く、定期同額給与といって毎月決められた額を報酬として受け取ります。
社長は一種の役員ですから、役員報酬になります。
しかし、社長の年収については調査資料が少なく、ほぼ推測するしかありません。
以下、中小企業の役員平均年収から社長の年収を予測してみます。
役員平均年収から予測した年収
中小企業の社長の年収を予測するため、まず役員平均年収を調べてみたいと思います。
資本金2000万円未満の企業の役員平均年収は5,290,000円。
資本金2000万円~5000万円未満の企業の役員平均年収は7,589,000円。
資本金5000万円~1億円未満の企業の役員平均年収は10,574,000円。
上記のデータは、企業内で働いている色々な役員すべての平均年収です。
社長の役員報酬は専務や常務、取締役などよりも高いはずですから、上記のデータからある程度予測をすることができます。
役員の階層ごとの役員報酬
役員の階層ごとの役員報酬目安について調べてみます。
以下、役職ごとの年間報酬相場です。
会長は1,200万円~1,400万円、社長は1,700万円~2,000万円、専務は1,200万円~1,350万円、常務は1,100万円~1,200万円、取締役は900万円~1,100万円、監査役は280万円~340万円。
役員報酬でも、監査役となると年収は300万円前後です。
社長の役員報酬相場は年間1,700万円~2,000万円ということですが、企業の大きさによって開きがありそうです。
以上の役員階層ごとの年間報酬目安と、少し前に挙げた企業の規模ごとの役員平均年収を併せてみると、知りたい中小企業の社長の年収がみえてくるかもしれません。
役員の雇用保険料の扱い
代表取締役、専務取締役、常務取締役、監査役といった役員は、基本的に雇用保険の適用対象にはなりません。
ただし、代表取締役をのぞく一般の取締役は、兼務役員である場合に限って雇用保険の被保険者になることができます。
社長の年収はどのように決まるか?
社長の役員報酬は法人税による制限を受けています。
普通の社員とは異なる体系のため、覚えておきたいポイントです。
日本の税法として認められる3つの方法
社長の役員報酬に関しては、日本の法人税法によって定められたルールがあります。
以下3つのルールのうちどれかにのっとって支払われた場合のみ、法人税を計算するときに損金とすることができます。
そのルールとは以下のとおりです。
【定期同額給与】毎月一定額で支払う方法。
【事前確定届出給与】支払う金額と日付を前もって税務署に届ける方法。
【利益連動給与】利益に連動して役員報酬額が自動的に決められる方法。
ただし、3つ目の利益連動給与に関しては大企業向けであるため、中小企業に関しては最初のふたつ、定期同額給与か事前確定届出給与が適用されます。
役員報酬の金額を変更できる?
役員報酬の金額は、自由に変更することはできません。
少なくともその期が終わるまでは変更できません。
来期から変更したいという場合、株主総会や取締役会の議事録が必要になります。
つまり、役員報酬の金額は、株主の賛同を得て、年に一度だけ変更することができます。
社長が自分の役員報酬を勝手に変更できないのには理由があります。
もしも社長が自分の報酬を自由に変更できるとすれば、税の申告の際、利益をすべて自分の報酬に回すこともできてしまいます。
そうなると、利益がゼロということになり、脱税ができてしまうのです。
それを規制するため、役員報酬は自由に変更することができないのです。
ちなみに、脱税防止のためのルールは他にもあります。
役員は役員賞与を受け取れますが、役員賞与は経費として損金処理できません。
さらに、名目役員(名目上のみの役員)については、経営に従事しているかや役員としての経験年数などが問われます。
もしも、単に社長の給与所得の分散を図るための名目役員だと判断されれば、名目役員に対する報酬は社長に対する報酬と判断され、損金として扱えなくなることもあります。
オーナー会社の場合は税理士などの専門家と相談
自分が社長になり、自分の給料を決められるとなれば、給料は高いに越したことはないと思いがちです。
しかし、社長の給料が高くなれば、その分会社の利益が下がります。
さらに考えなくてはならないのは、会社の税率と個人の税率の差です。
会社の税率は利益に関係なく同じですが、自分の税率は収入が増えれば増えるほど高くなるということです。
それで、年収を高くした結果税金も上がり、結果、損してしまうことがあるのです。
ですから、オーナー経営者の場合、社長の役員報酬額を決める時には税理士などの専門家に相談するといいでしょう。
専門家なら、全体的な要素を考えた上で、社長の役員報酬についてのアドバイスをしてくれるでしょう。
中小企業の社長は経費でメリットが出る
中小企業の社長は多くの制限を受けます。
しかし、一定の条件を満たしていたら経費を使える点がメリットです。
経費にできる条件
中小企業の社長は、購入したものを経費にして節税できることがあります。
経費にできる条件は、仕事に使用することが証明できること、会社の売上に関わっていること、適正な範囲の出費であることといったことがあります。
購入額を証明できる明細書なども必要です。
経費として落とすためには上記のような条件が定められており、何でも経費として落とせるわけではありません。
しかし、飲食代であっても、取引先や社員と一緒に食べたのであれば経費として扱えるので、経費によるメリットはあるといえるでしょう。
家賃・飲食代・旅行などどこまで経費にできる?
個人事業主の場合、自宅兼事務所で作業している人も多いはずです。
この場合、家賃や光熱費のうち、仕事に関わる部分を経費として扱うことができます。
飲食代や旅行に関しては、社員と一緒だった場合や取引先の会社と一緒だった場合、経費として扱えます。
ただし、役員のみの場合は経費にならないので、注意が必要です。
社長を目指すなら中小企業がおすすめ
大企業の社長になるのは競争率が高く、難易度が高いです。
しかし、中小企業の社長であれば起業してなることもできるので、社長を目指すなら最初から中小企業を狙うの手もあります。
社長の年収を決めるにあたり、こちらでご紹介した内容をぜひ参考にして下さい。
また、税理士さんのアドバイスを参考にするのもおすすめです。
年収ランキングを見ると、大手企業よりも中小企業の方が高給な場合もよくあります。
大手企業に負けない、中小企業を起業してみて下さい。
- 中小企業の定義には、資本金額と従業員数が関係している。
- 社長の役員報酬相場は年間1,700万円~2,000万円。
- 役員報酬の額は、株主総会や取締役会を機に変更できる。