年収850万円の手取りは?男女比で全国の割合と生活水準を徹底調査
年収850万円というと、国内においては高収入の部類に入る年収でしょう。
最も多いと言われる年収が、男性の場合は400万円ということから、高めの数字であることがよく分かります。
それでは、そのような額の年収を手にする人はどのくらいの手取りがあるのか、男女比や全国ではどれほどの割合を占め、生活水準はどのようになっているのかを解説します。
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年収850万稼いでいる人の手取りは?
日系グローバル企業や開発エンジニア、プロジェクトマネージャー、上場企業管理職などのような仕事をしていると、年収は850万円を超えることも珍しくないでしょう。
しかし、高額な年収と言える年収850万円を稼ぐ人でも、そのまま全ての額を手にしているわけではありません。
会社で税金などあらゆるお金を天引きされて、残った金額を手取りとして受け取っています。
それでは、給与から天引きされるものや、控除されるものについて説明します。
給与所得控除額は?
給与所得控除とは、給与の支払いを受けている人だけの控除で、給与所得を計算する時に実際の給与から差し引く金額のことです。
自営業者の場合、売上から経費を差し引くと純利益が導き出されるように、簡単にいうとサラリーマンの経費の額となります。
店舗経営をしていると、経費について意識しやすくなるでしょう。
しかし、一般のサラリーマンの場合も仕事に出かけるためにスーツを購入したり、通勤のために自家用車を利用したりしていることから、会社から直接経費の支給はされないものの、税額の控除として給与所得控除が用意されています。
給与所得控除額の算出方法は法律によって定められているため、法改正される場合もあるので自分で計算する必要がある時は注意しましょう。
会社勤務の場合はたいてい勤め先で計算をしてくれるため、特に気にすることはないでしょう。
では、給与所得控除額の計算方法ですが、平成28年度分と平成29年度分で内容が変わっているため参考にする計算式に注意しましょう。
ここでは、平成29年度分の方で解説を進めます。
年収850万円の場合は、収入金額に10%をかけて120万円を足して導き出された数字になります。
実際計算してみると、205万円が給与所得控除額です。
社会保険料の支払い額は
社会保険料とは、国で強制的に加入が決められている保証制度のために支払うお金のことです。
給与明細書を見れば、詳しく社会保険料として天引きされた金額が書かれているでしょう。
社会保険料は、健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・労災保険のことです。
それぞれを説明すると、健康保険は病気やケガをした時の通院・入院・長期休業、そして出産・育児休業に対する保障で、介護保険は介護ケア、年金保険は老後の生活保障・遺族の生活保障・障害の状態に合わせた保障です。
それから、雇用保険は失業した時の生活保障・講習会の受講や技能訓練などのスキルアップ、労災保険は仕事中やそれに関わる業務で起きた病気やケガを保障します。
ちなみに、介護保険の支払いは40歳以上、労災保険は会社側が全額負担することになっています。
40歳未満の人の給与明細には、健康保険料・厚生年金料・雇用保険料が記載されているでしょう。
では、この3種類に絞っていくら支払うことになるのか計算してみましょう。
会社員が加入する健康保険は、健康保険組合または協会けんぽで、40歳未満の場合標準月額の10%弱程度の保険料を支払います。
しかし、半分は会社が負担してくれるので、5%に満たない保険料を納めることになるのです。
年収850万円を月収に換算すると70万円を超えるくらいになるので、3万5千円程度となります。
この金額は、扶養家族の有無などでも左右されるため、同じ年収の人でも金額には変化があります。
そして、厚生年金は平成27年の段階で18%弱となっており、健康保険と同じように会社が半分負担するため月収の9%弱を納めることになります。
先ほど計算した月収70万円を参考にすると、1ヶ月に6万3千円ほどで、同じだけ会社が納めてくれていると思えばかなりの得でしょう。
最後に、雇用保険は1.35%ですが、雇用主が負担する割合の方が多くなるため、本人負担の割合は0.5%です。
すると、ひと月あたり3500円程度という計算になります。
この3つをまとめると、大体給与の14%程度を天引きされる形になり、40歳以上の人の場合でも15%程度を社会保険で支払うでしょう。
所得税と住民税の額は?
所得税は、売上から経費を差し引いて算出された利益に対して課せられる税金です。
会社員の場合は、給与所得に課税されることになり、給与から天引きの源泉徴収という形がとられているため、所得税を知らないうちに収めていることが多いでしょう。
所得税は、給与所得控除だけでなく、その他の控除を計算した上で税額が算出されるものです。
その他の控除とは、基礎控除・雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険控除・地震保険料控除・寄附金控除・障害者控除・寡婦(夫)控除・勤労学生控除・配偶者控除・特別配偶者控除があります。
基礎控除は全ての人に当てはまりますが、その他については、あてはまるものがある時に申請し、年末調整を受けるか自分で確定申告をしましょう。
すると、納め過ぎた分の税金が還付されることになります。
では、年収850万円の人の所得税はどのくらいになるか計算してみましょう。
先ほど算出した205万円の給与所得控除をもとに、給与所得額は645万円となります。
そして、各種控除を645万円より差し引いていきますが、基礎控除38万円と社会保険料121万8千円を使い、その他はないものとします。
すると、課税される給与所得額は485万2千円と導き出されます。
それから所得税速算表を元に税率を割り出すと、税率は20%で控除額は42万7500円となり、年間で54万2900円の所得税を納めることになるのです。
1ヶ月に換算すると4万5千円を超える程度ずつ納める形です。
今度は住民税についてですが、住民税とはその年の1月1日に住んでいた場所へ納める税金で市区町村と都道府県に納めます。
ちなみに収入が低い、扶養控除内での収入である場合には課税されない税金です。
会社員の場合、個人住民税にあたり、前年の所得に応じて課税される所得割と所得金額に関わらず課税される均等割をあわせて課税されるのです。
それらを元に計算すると、東京都在住独身で年収850万円の場合49万円をこえるくらいの住民税額になります。
1ヶ月では4万8千円ほど納めるという計算です
手取り額を算出
給与所得控除額や社会保険料の金額など必要な情報を元に、1ヶ月あたりの手取り額を算出してみましょう。
大まかに計算すると1ヶ月の手取り額は50万5千円を超えるくらいという数字になります。
年収850万稼ぐ人の男女の割合
年収850万円を稼ぐには、どのような仕事でも可能というわけではなく、ある程度職業も絞られてきます。
男性の中での割合は1.5%ほど、女性の場合では0.2%という、ごく低い数字になっていることからも年収850万円はかなり高い数字と言えるでしょう。
男女ともに20代では0%で、50代に最も割合が高くなることから、年齢と共に会社の中で重要な管理職などを任されるためとも考えられます。
年収850万稼ぐ人の生活水準は?
全国的に見ても高い金額にあたる年収850万円の人の場合、生活水準も高いでしょう。
しかし、都心部で生活していると収入が高くても支出も高くなってしまう傾向にあります。
そのため、エンゲル係数が小さいほど生活水準が高いとされる指標を元にしても、物価の高さからエンゲル係数を小さくすることが難しい場合も考えられます。
逆に収入が少なくても、地方で物価の低い土地で暮らしていればエンゲル係数が下がり、生活水準を上げることもできるでしょう。
エンゲル係数に限らず、土地価の高い都心部は家賃など生活にかかる費用が高くなりがちで、生活費の割合が大きくなり、生活水準が下がってしまうのです。
しかし、850万円の年収があれば生活費を無理なく支払い、貯蓄分も取った上で自由に使えるお金の確保ができる金額ではないでしょうか。
例えば、独身でこれだけの年収があればかなり生活水準は高いでしょう。
一方、既婚者で妻は専業主婦、子供の人数が多いという条件になってくると年収850万円でも高い生活水準で余裕のある暮らしができているとは言い切れません。
とはいっても、収入が大きいことから将来に備えた貯蓄がしやすい状態にあるので、老後に十分備えやすく将来の安心感のある暮らしが期待できるでしょう。
年収850万円の生活
年収850万円をもらっている人は、全国でも男女合わせて0.2~1.5%ほどしかいないことから、大変高収入の部類といえます。
その分支払う税額は大きくなりますが、収入全体の占める割合で考えればそれほど無理のある額ではないでしょう。
そして、手取り額も大きくなるために生活に必要な費用を支払っても十分貯蓄をとることができ、自由に使えるお金も持つことが可能です。
比較的生活水準が高いと言える年収850万円の人であっても、生活する環境や家族の人数などにより、やや下がることもあります。
・年収850万円でも、実際の手取りは1ヶ月で50万5千円を超えるくらい
・年収850万円稼ぐ男女の割合は、男性1.5%ほど女性0.2%