【明日は我が身?】老後破産に陥らないための原因と対策
超高齢社会を迎えた日本では、高齢者の大半が低所得の状態にあるといわれています。
年金だけで生活する独居老人も多く、もし病気やケガをしてもお金がなくて十分な医療や介護サービスを受けられないこともあるのです。
それに、年々下がる年金受給額のなかでどうにか年金生活を続けている、生活保護水準以下で暮らす高齢者も増えています。
そんな老後破産の状態に陥る原因と予防するための対策を解説します。
Contents
老後破産とは?
老後破産という言葉は、NHKスペシャル「老人漂流社会」の中で用いられた言葉です。
そこでは老後破産とは、生活保護水準以下の収入しかないにも関わらず生活保護を受けていない破産状態にある高齢者の状態のことをさしていました。
しかし、老後破産に陥ってしまう高齢者が現役時代、あまり働くことができなかったかといえばそうとは限りません。
正社員として20年以上勤めあげたうえに退職金も十分受け取って老後に備えられていたという人もいるのです。
それでも老後破産に陥ってしまうにはあらゆる原因がありました。
老後破産に陥る原因
老後破産を引き起こす原因にはさまざまなものがあり、人によっていくつもの原因が重なってしまうこともあるでしょう。
社会的な要因や個人の事情などあらゆる原因についてご紹介します。
長寿
世界有数の長寿国である日本は、2015年の段階で男性は80.79歳、女性は87.05歳という平均寿命のデータがあります。
医療の発展により長生きは可能になってきているものの、長生きすればするほどそのための生活費は必要になってきます。
しかし、仕事をして大きな収入を得られるのは定年退職の60歳までが多く、その後は年金と今までの貯金を切り崩していくことになるのです。
十分な貯金があったと思っていても、高齢になれば病気やケガのリスクは高くなるため、治療費や入院費で貯蓄が底をつき老後破産に陥るという可能性があります。
自分自身が病気にならなくても、パートナーや子供に何かあった場合に治療などにお金がかかるため、貯蓄を失ってしまうケースも出てくるでしょう。
年金制度
日本の年金制度では、働く世代が年金を納めて、それを年金受給者へ渡す形が取られているため、高齢者の割合が高い現在では年金受給額が年々下がっています。
働く世代の納める年金額は上がっているものの、高齢者となった団塊世代を支え切ることは難しく、大きな負担になっていることも事実です。
また、高齢者へ医療や介護サービスに必要な費用負担も大きくなりつつあることから年金受給だけで生活をしていくことが難しい高齢者の数も多くなっています。
独居老人の高齢者世帯ほど十分な医療や介護サービスを受けることが難しく、生活するだけで精一杯という状況にもなっています。
それに年金受給年齢が65歳に引き上げられたことから、60歳で定年退職をしたあと年金受給者になるまでの間収入の全くない期間が存在してしまいます。
この期間を継続して雇用してくれる企業もありますが、そうはいかないところも多いのです。
制度の改正が待たれるところですが、この5年間を生活していけるような蓄えも必要になるでしょう。
定年退職金の減少
バブル崩壊後定年退職金は減少し続けており、企業の4社に1社は退職金が出ないところも存在しています。
定年退職金の有無は住宅ローンを利用する際にも大きく関わる部分なので、しっかりと確認しておきたいものです。
その他の原因
それまで真面目にサラリーマンとして働いてきた人にとっては、収入と支出をそれほどしっかり把握してこなかったかもしれません。
それでも、働いているうちは安定した収入があったため、お金に困ることはそれほどなかったことでしょう。
しかし、退職してしまうとまとまって受け取った退職金や、これまでに用意してきた貯蓄を計画的に使うことが必要になります。
そのためには支出を把握し、生活に必要なお金が大きく出て行かないように調整して使うことがポイントです。
また、非正規雇用の労働者の割合が大きくなっていることから子供が自立できないケースもあるでしょう。
そのため年金収入の親と同居して暮らしていることも多く、病気などの事情で働けない子供の世話をしている高齢の親もいます。
すると、年金だけでは生活が難しくなりその結果老後破産に陥ることもあるのです。
老後破産に陥らないための対策
老後破産にならないために、働く世代であるうちにできること、リタイアしてからでもできることなどさまざまな対策があります。
自分が可能だと思うところから始めて長く続けてみましょう。
年金以外の収入源を確保する事
主な収入源が年金のみという年金受給者は、生活費をまかなうだけで精一杯ではないでしょうか。
特に高齢者だけの世帯や働くことのできない子供などと同居している場合は、年金だけでは生活費が不足してしまうものです。
そこで、年金以外の収入源を確保する方法ですが、それまで働いていた会社で体が元気で足腰も丈夫なら、買い物に出かけた先のスーパーなどで求人の貼り紙がないか探してみましょう。
地元の商店などでは、品出しやレジ打ちなどの仕事を高齢者でも受け入れている場合があり、今までにその仕事を経験したことがあれば有利に働くことも期待できるでしょう。
または、シルバー人材センターへ登録して仕事をもらう方法もありますが、あくまで生きがいを目的とした就労の紹介がメインになります。
そのため長期間の就労や高い賃金は期待できないことを知っておきましょう。
それまでに投資の知識と経験があり、成功が見込めるのであれば少しずつ投資に回してお金を増やすという方法もあります。
しかし、全く知識のない状態で生活費を投資につぎこんでしまうと失敗した時生活できなくなる可能性があるため、投資は慎重に行うことがポイントです。
医療費の節約
日本は医療の発達により、長生きしやすくなったとはいえ、ただ寿命が延びるだけでは介護されている側も幸せとは感じられないかもしれません。
それに、少しでも医療費を節約できれば、もしもの時に備えて貯金していくこともできるでしょう。
そのためには、健康寿命をのばすようにすることがポイントです。
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間と定義されており、平均寿命と健康寿命の差が健康ではない期間にあたります。
その期間には、多くの医療費や介護サービスの利用費などが必要になると考えられるため、平均寿命と健康寿命の差をより縮めようと努力することが医療費の節約になり、さらに本人も快適に生活しやすくなるでしょう。
具体的にどのようなことをすれば健康寿命を延ばす役に立つかというと、運動不足解消や栄養バランスのとれた食事、禁煙の3つを心がけることです。
詳しい運動量の目安は1日10分程度の早歩き、食事では1日に必要な250gの野菜プラス100gした量をとることと朝食を食べること、そして喫煙は健康への害になるためやめましょう。
子供への援助をやめる
よほど潤沢な収入と貯蓄があり、生活にも困らないであろう余裕のある場合は別ですが、自立して暮らす子供への援助は控えめにしておくことです。
子供が独立し、生計を立てているのなら安心してそれまでの援助分を貯蓄に回しましょう。
定期的な援助をやめて冠婚葬祭や孫の入学祝いなどの折にお金を出してあげるつもりで貯めておいてはいかがでしょうか。
しかし、未婚で同居している子供がいる場合にはできるだけ自立するよう促し、老後の貯蓄を切りくずさないでいられるよう援助を控えていきましょう。
自分が生きている間は、子供の生活を助けることもできますが、亡くなったあとは親戚などに迷惑をかけるかもしれません。
そうなる前に自立できるよう支えていくことで、老後の貯蓄を減らさないようにもしていきましょう。
貯金をしておく
定年退職すると大きなお金を手にすることになりますが、これはご褒美として受け取ったお金ではないと認識しましょう。
あくまで今までの給与から天引きして貯めてあった分のお金であり、これからの老後に必要な生活費をまとめて受け取っているのです。
ごく一部を使って夫婦で退職祝いをしたり、好きなものを買ったりする分には良いですが、豪華な旅行や大きな買い物、経験のない投資につぎ込んでしまうと老後破産に陥る可能性が出てきます。
退職金は目的を決めて使い、できるだけ貯蓄に回しましょう。
老後破産の原因と対策
老後破産は、もともと年収の低かった人だけが心配する問題ではありません。
それまで堅実に働いていた人であっても、万が一の病気や事故などあらゆることから陥ってしまう可能性があるため、その状況を招く原因をつくらないように日々過ごしましょう。
老後破産にならないためにも、老後のための貯蓄をしておき健康維持増進を心がけることが大切です。
さらに、年金以外の収入源も見つけられるとより安心でしょう。
・老後破産に陥るのは社会的な要因や個人の事情などあらゆる原因がある
・老後破産にならないためにも貯蓄をして健康維持増進を心がけること