年収がいくらあれば平均的な暮らしができる?
景気が良くなったといわれても、実感がわかなく、むしろ年収・給与は減っているような気がする、将来が不安になる。
そう考えたこと、あなたはありますか。
体感でしかわからない、それならその実態はどうなっているのでしょうか。
そして、いったいいくらの年収があれば平均的な暮らしができるのでしょうか。
将来に不安を残さないように、さまざまな情報をお伝えしますので、あなたの生活レベルを客観的に考えてみましょう。
Contents
日本人の年収平均額について
私たちがもっとも身近に感じる所得給料の変化。
体感であなたは増えていると思いますか、それとも減っていると思いますか。
27年度の国税庁が毎年おこなう調査、「民間給与実態統計調査」のデータを見てみると実際の私たちの住む日本の景気、つまり年収額は年々どうなっているのかが判ります。
給与所得者一人当たりの平均給与所得の伸び率を見ると、平成24年度までは若干の下降傾向にありましたが、それ以降は少しずつ上昇へと推移しています。
結果として、昨年度(平成27年度)は、年間の平均給与が420万円と前年に比べて1.3%増加しました。
では、いろいろな角度からの賃金を確認していきましょう。
■ 男女別平均給与額
男性 | 女性 | 差額 |
521万円 | 276万円 | 245万円 |
前年に比べて男性が1.3%増加、女性は1.4%の増加となりました。
■ 雇用形態別平均給与額
正規雇用 | 非正規雇用 |
485万円 | 171万円 |
前年に比べて正規が1.5%増加、非正規が0.5%の増加となりました。
数字を見てもピンときません。
しかし、平均給与が増えているということは年収平均額も増加傾向にあるということはわかります。
■ 日本全体の年収平均額
日本の平均年収額は平成27年度では420万円となっています。
過去の日本全体の年収平均額を少しご紹介します。
年度 | 平均年収額 |
平成22年度 | 408万円 |
平成23年度 | 414万円 |
平成24年度 | 409万円 |
平成25年度 | 414万円 |
平成26年度 | 415万円 |
やはり、多少の増加は平成24年度以降からは確認できます。
年収とは、一般的に手取りの金額ではなく社会保険料や所得税額や民税等が引かれる前の総支給額のことをいいます。
企業から受け取る源泉徴収票に書かれた総支給額が年収になります。
世帯年収の平均額は?
今度は、平成26年度の国民生活基準調査という厚生労働省の調査における世帯年収の平均額と分布状況をご紹介します。
各種世帯別にみた世帯の状況の割合を、日本全体の平均であらわしています。
いろいろな角度からの数値をご紹介いたします。
あなたの年収を、個人の年収・世帯の収入に比較してみましょう。
所得の分布状況
一世帯あたりの平均所得金額は、541万9千円。
日本全体で8.8%の割合になります。
中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は427万円、平均所得金額を下回る世帯は61.2%となっています。
過半数以上の世帯は平均所得金額以下ということです。
世帯主の年齢階級・世代別の所得の状況
世帯主の年齢別の世帯あたり・一人あたりの平均所得金額のご紹介です。
世帯主の年齢 |
平均所得金額 | |
一世帯あたり | 一人あたり | |
29歳以下 | 365.3万円 | 176.4万円 |
30~39歳 | 558.9万円 | 178.8万円 |
40~49歳 | 585.9万円 | 214.1万円 |
50~59歳 | 768.1万円 | 262.4万円 |
60~69歳 | 525.8万円 | 217.9万円 |
70歳以上 | 386.7万円 | 183.8万円 |
下記は65歳以上、年金受給世代の平均所得金額です。
65歳以上 一世帯あたり 417.9万円 一人あたり192.4万円
となっています。
所得の種類別の状況
さらに各種世帯の所得の種類別一世帯あたりの平均所得金額のご紹介です。
全世帯 | 高齢者世帯 | |
稼働所得 | 74.5% | 19.6% |
公的年金・恩給 | 67.5% | 20.3% |
大多数の人たちが「生涯現役」という言葉の通り、定年後も仕事を続け働かなくてはいけない状況になっています。
世帯年収500万で平均的な生活は送れる?
ここでは二人以上の世帯がいったいいくらあれば平均的な生活が送れるのかご紹介いたします。
二人以上の世帯で1カ月にかかる全国平均消費支出(2017年4月分の統計)は295.929円です。
次に295.929円に対しての種目別の平均支出を紹介します。
支出種目 | 平均支出額 |
食費 | 70,979円 |
住居 | 16,098円 |
水道・光熱費 | 23,725円 |
家具・家事用品 | 8,977円 |
被服・履物 | 11,639円 |
保険・医療 | 12,454円 |
交通・通信 | 38,295円 |
教育 | 21,125円 |
教養・娯楽 | 29,312円 |
その他 | 63,326円 |
あくまでも、全国平気消費支出に対しての内訳です。
ここで住居の項目の金額をご覧ください。
これは、家賃や住宅ローンの金額ではなく、設備の修繕や維持などに支出される項目です。
仮に、世帯年収が500万円あったとして、ボーナス等は除いて単純に12ヶ月で割ります。
すると1ヶ月は約41.7万円です。
ここから、正規社員として会社に勤めている方は社保険・所得税などが差し引かれます。
非正規雇用の方も税や保険料等が控除されます。
平均年収を、12等分し控除後の金額を約35万円とします。
するとどうでしょうか。。。
上記の金額に家賃や住宅ローン、自動車やバイクのローン、臨時的な支出、これに併せて養育費が全体の平均支出にプラスされてしまえば、とても年収500万円を12ヶ月で割り、控除された約35万円では平均的な生活を送ることは難しいといえます。
よって上記数値を参考にした場合、世帯年収500万円で平均的な生活は送れるのだろうかという問いの答えは「No」です。
じゃあ一体いくら必要なの?30歳で世帯収入「650万円」は必要!?
では、一体収入がどのくらいあれば平均的な生活・安心できる老後を確保できるのでしょうか。
前述したとおり、年収500万円では平均的な生活は送れないとの結果が残念ながら出ました。
当然、平均的な支出の別に自分自身の老後の蓄えも必要になっていきます。
更に、扶養者が増えれば支出はもっと増えます。
30歳を過ぎると、結婚をして住宅ローンを組んで、子供を育てる環境にある方も増えていきます。
ここでは、世帯に子供二人がいて育てる場合の平均的な支出額と老後の蓄えを確保する世帯年収額イメージをご紹介します。
子供二人を育てる場合
赤ちゃんが生まれてから大学卒業まで22年間として、その間養育費は約3000万円といわれています。
養育費とは生活費と教育費の両方を指します。
子供一人あたりにかかる産後から22歳になるまでの生活費のおおよその内訳です。
食費 | 約670万円 |
衣料費 | 約140万円 |
医療費・理容費 | 約195万円 |
小遣い | 約450万円 |
私物代 | 約90万円 |
合計すると、生活費はおおよそ1550万円です。
その他教育費として約1500万円程度かかります。
合計すれば、約3000万円の計算になります。
子供を二人育てていく場合は、この2倍の6000万円が養育費として必要になってきます。
これは一般的なケースで、私立・国立の学校に通わせることにより金額は変動します。
単純計算すると、子供を二人社会人になるまでの22歳まで育てる場合、1年あたりの養育費が約273万円となります。
6000万円 ÷ 22(年間) = 約273万円 |
それを、12(ヶ月)で割ると1ヶ月あたり約23万円の養育費がかかります。
約273万円 ÷ 12(ヶ月) = 約23万円 |
そして、先述した全国平均消費支出(2017年4月分)の295,929円の項目から、「教育費(21,125円)」を差し引いた274,804円と上記の1ヶ月あたりの養育費23万円をプラスすると、約50万円です。
295,929円(平均消費支出) – 21,125円(平均教育費) + 23万円(養育費) = 約50万円 |
すると、年間約600万円が支出されることになります。
約50万円 × 12(ヶ月) = 約600万円(年間) |
教養や娯楽に費やす費用も家族4人ともなると約3万円では足りなくなってきます。
では、あと月々5万円収入を増やすとしましょう。
合計で世帯年収650万円あれば、月約55万円になり生活費・教育・養育そして老後に向けた貯蓄や家や車のローンなどを考えても、ゆったりとした生活を送る事ができます。
平均的な生活を送るためには
景気が上向き傾向にあるといわれても、疲弊した大多数の人たちの懐具合は寒く、現状は節約に節約を重ねるしかありません。
私たちの住む日本で平均的な生活を送ることができる年収を稼いでいるサラリーマンは、全体でわずか10%にも満たない状況です。
子供がいらっしゃる方は、育てると同時に老後に備えての貯蓄もしていかなければなりません。
将来への不安を払拭する為には、転職など様々な計画を練り、将来へむけて色々な準備をしていかなくてはなりません。
はたして日本は、すべての人が平均的な生活を送る事ができる日は訪れるのでしょうか。
- 全国平均年収額は平成24年以降上昇傾向にある
- 年収500万円では平均的な生活を送ることは難しい
- 年収500万円を下回る年収、約440万円が日本での30歳時の男性社員平均年数
- 年収650万円あればゆったりと平均的な生活を送る事が出来る
- しかし年収650万円に達しているサラリーマンは全体のわずか10パーセントにも満たない