国民年金保険料|払えないなら支払い免除・納付猶予の申請で円満解決
国民年金は、国に必ず納めるべき保険料です。
対象年齢は、20歳以上60歳未満の被保険者で、65歳から支給開始されます。
しかし、今の日本人の被保険加入者すべてが納めている訳ではなく、未納者が16年の調査では、実質40,5%(免除なども含めて)の割合をも占めています。
収入が低いうえに所得税も引かれて月額を納めることが厳しい状況の人もいるでしょう。
それに該当した方は、保険料免除や保険料納付猶予制度を利用して、保険料を半額免除あるいは、全額免除することができます。
今回の記事では、国民年金についての免除や納付猶予制度の申請の方法を解説します。
Contents
国民年金を放置しないで!
社会保障受給額は、支給開始年齢の65歳になってから支給されると思っている方がいますが、実はそうではありません。国民年金を納めていないと急な事態に襲われた場合に取り返しがつかないことがあります。
たとえば受給者が、病気や事故で働けなくなった場合に受給できる所得保証では、障害基礎年金や、契約者が亡くなった場合に受給できる遺族年金があります。
もし納めていないとこれらの年金が受給できなくなるので、収入金額が低い人でも放置してはいけません。国民年金を未納にしておくと、経過的計算や報酬比例部分が0になり、将来の年金が保障されません。
しかし納めたくても納められない人がいることも事実です。
次に、国民年金の免除や納付猶予の基礎知識を解説します。
国民保険料の支払い免除・納付猶予
どうしても国民保険料が支払えない人は、以下の2つの選択肢があります。
- 支払い免除
- 納付猶予
です。
それはどのような選択肢なのでしょうか。
順番に確認してみましょう。
支払い免除
所得金額が少なく本人や配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合や、失業して国民保険料が納められない場合は、申請書を提出して承認されると保険料が一部または全額免除してもらうことができます。
免除を受けた場合に、その免除期間中の追納を行わないと、その分は老齢基礎年金支給額が減額になります。
納付猶予
本人・配偶者の前年所得(1月から6月の申請は前々年所得)が一定以下の場合に、本人から申請書を提出して、承認されると保険料が納付猶予されます。
支払い免除は、申請した期間の保険料が免除されますが、納付猶予は後から保険料を支払う方法です。
納付猶予は本人と配偶者ですが、学生だと特例で本人だけが対象になります。
親の所得で判断されないので、学生には申請しやすい制度です。
国民保険料の支払い免除・納付猶予するメリット
支払い免除と納付猶予の共通するメリットは、その支払い免除・猶予期間中にもしものことがあっても、遺族年金と障害年金を受け取ることができることです。
保険料免除・納付猶予制度の手続きをせず、未納のままにしておくと、怪我や自分が亡くなった場合に障害年金や遺族年金は、支給されません。
未納分は将来の受給額に反映され減りますが、後から追納すると減ることはないので、
早めに追納して老後資金を満額支給年齢の65歳で受給開始しましょう。
免除・猶予の手順
国民年金保険料の免除・納付猶予について説明しましたが、実際にその制度を受けるにはどのような手順をふめばよいのでしょうか。
順番に確認していきます。
支払い免除・納付猶予申請の手順
支払い免除や納付猶予申請書の提出先は、住民登録している市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口です。
支払い免除と納付猶予の申請書は1つの用紙になっていて、年金事務所・市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口に備え付けられています。
申請の手順は以下の通りです。
手順① 申請書を手に入れましょう
申請書を手に入れる方法は3つです。
- 国民年金機構のHPからダウンロードする
- 市区町村の役所・国民年金担当窓口・日本年金機構(年金事務所)へ直接取りに行く
- 日本年金機構に電話して郵送してもらう
手順② 申請書に必要事項を記入しましょう
申請書を手に入れたら、国民年金機関のHPを参考にして記入します。
それほど、むずかしいことはありませんが、分からないことが多ければ、年金事務所・市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口で丁寧に教えてくれます。
手順③ 書類を準備ましょう
年金手帳または、基礎年金番号通知書が絶対に必要な書類です。
その他、場合によって必要なものがあります。
■前年(または前々年)所得を証明する書類(郵送する場合は不要です)
■所得の申立書(所得についての税の申告を行っていない場合)
■雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し(失業等による申請の場合)
■厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し及びその申請時の添付書類の写し
(以下については、失業の状態にあることの申し立てが別途必要になります。)
■履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書
■税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し(税務署等の受付印のあるものに限る。)
■保健所への廃止届出書の控(受付印のあるものに限る。)
■その他、公的機関が交付する証明書等の失業の事実が確認できる書類
手順④ 申請書を提出しましょう
住民票住所の市区町村の役所・国民年金担当窓口・お近くの日本年金機構(年金事務所)に提出します。郵送でも可能です。申請書を提出したら結果を待ちましょう。
対象基準と所得条件
支払い免除や納付猶予の対象基準は、前年所得(1月から6月の申請は前々所得)が一定額以下の人が基準となっていて、経済的に厳しい人が対象です。
すべての所得条件はこのようになっています。
■免除の所得条件
①全額免除
前年所得が以下の計算方法で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
②4分の3免除
前年所得が以下の計算方法で計算した金額の範囲内であること
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
③2分の1免除
前年所得が以下の計算方法で計算した金額の範囲内であること
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
④4分の1免除
前年所得が以下の計算方法で計算した金額の範囲内であること
158万円+扶養親族等控除額+社会保険扶養額等
■納付猶予
・前年所得が以下の計算方法で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
■学生納付特例
・本年度の所得基準
118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
扶養親族等控除額、社会保険料控除額等は、確定申告で申告された金額です。
源泉徴収票でも確認することができます。
結果はいつ来る?
支払い免除・納付猶予の結果は、申請した月から2~3ヶ月後に登録住所に郵送で送られてきますが、先に保険料の納付書が届くので、納付せずに保管しておきます。
免除・納付猶予申請したにも拘わらず納付してしまうと、受給開始年齢のときに適用されません。(老後資金に影響はありません)
審査の状況が気になる人は、年金事務所に問い合わせすればわかります。
免除・猶予申請は、万が一の備えになります
未納のままにしておくと怪我や自分が亡くなった場合に、「遺族年金」、「障害年金」が支払われません。自分が後悔するだけではなく、家族にも迷惑をかけてしまう可能性があります。
確定申告と比べると、免除・納付猶予は申請方法は簡単です。
確定申告の場合、計算も難しく確定申告書Bや確定申告不要制度といったものがあるため、申請に手間取る人も少なくありません。
社会保障税が平成25年12月にはじまったことにより、年金・国立社会保障などの研究機関に力が入っているので、将来の生活に心配はいりません。
最近では、きんネットというサイトで年金の確認や将来の年金見込額も確認することができるので、便利になっています。
被保険者は、後悔しないように未納のままにせずに万が一に備えるようにしましょう。
- 保険料を未納にしておくと年金が受け取れない
- 未納だと怪我をした時の障害年金が支給されない
- 未納だと自分が亡くなった時の遺族年金も支給されない
- 経済的に苦しかったら免除・納付猶予を申請する
- 免除・納付猶予をしても障害年金・遺族年金は受け取れる
- 申請の方法は簡単にできる