【無知は罪】投資用マンションとは?不動産投資による節税は可能か?
公務員をはじめ、看護師さんなど比較的安定的な収入がある人や、若い世代、それも30代のサラリーマンがマンションを購入する傾向が見られ、それも投資目的の場合が増えてきました。
その主な理由として、直近の収益を上げることよりも、不動産投資の一環としてマンション投資をするのは、将来への投資目的があります。
最近では、頼ることのできない年金の代替としての投資の意味合いを残しているようです。若い世代が増えているのは、自分の将来への不安を先取りしているのかも知れません。
また、金利の低さも一つの理由として挙げることが出来ます。
銀行に預金してもほとんど意味がないことと、逆に言えばお金を借りたほうが良い場合もあります。
というのも、不動産投資用のローンは、自宅を購入する場合のローンよりは金利が高めの設定になっています。
しかしながら、500万円以上であれば2%台で融資が受けられるし、日本政策金融公庫の場合では、事業性に融資として10年の固定金利が1.4~2%(有担保がある場合)で借りることができます。
このような背景があって、マンションに投資する人が増大しているのですが、はやり気になるのは税金。
それも不動産投資による節税についての可能性があるかということになります。
今回は、不動産投資によって節税は可能なのか否かに迫ります。
Contents
投資用マンションとは?
投資用のマンションは、それを購入した人が居住するのではなく、あくまでも第三者に賃貸させることで、毎月の家賃収入を得たり、あるいは、売却することで利益を上げたりするための、いわゆる、利殖を目的として購入・所有しているマンションのことを言います。
投資用のマンションで利益を得るには2種類の方法があります。
1つはインカムゲインといって、所有することで利益を得る方法です。
そして、もう1つがキャピタルゲインで、これは売却することで利益を得ることです。
インカムゲインとは?
投資用のマンションを購入した後、賃貸に出すことで定期的に家賃収入が得られます。
このような形で資産を所有して得る収入のことを、インカムゲインと呼んでいます。
入居者がすぐに見つかれば継続して家賃収入が得られますが、売却で得られる利益よりは少ないとされています。
キャピタルゲインとは?
それに対して、不動産を売却することで利益が得られる場合のことをキャピタルゲインと呼んでいます。
この場合は、購入時の金額よりも売却時の金額を高くしなければ意味がありませんので、どの時点で売却すればいいのかタイミングが重要になります。
投資マンションを考えた場合、どちらのやり方が得策であるのか、知識がないとなかなか難しいところです。
投資用マンションで利益を得るには?
では、投資用のマンションで利益を得るにはどうすればいいのでしょうか。
そのためには、まず投資効率をみなければいけません。
その方法の一つに、「投資利回り」というものがあります。
その式は、
表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
で表すことができます。
利回りの数値を上げるための方法は2つ。
【1】年間家賃の収入を上げること
つまり、出来るだけ賃貸料を高く設定すればいいのですが、これには、中古マンションでは中々難しいことで、新築マンションの場合でなければできないかも知れません。
【2】物件価格を下げること
これは、新築では難しく中古マンションでは可能性がありそうです。
実際に、大都市圏での投資用の新築マンションは価格が上がっていることから、投資利回りは下がっていますが、築年数が経っている地方の中古マンションは、価格が下がっているので利回りが高くなっている傾向にあります。
現在のところ、投資用マンションの利回りは3~20%とピンキリになっているようです。
例えば、都心の3,500万円マンション物件があって、それの表面利回りが8%とすると280万円となって、それが年間の家賃収入になります。
しかしながら、空き室が出た場合にはこの金額が減ることになります。
仮に2カ月間空いた場合収入は234万円となり、これに経費が年間15%程度かかるとした場合、収入は199万円まで落ち込みます。
そして、購入代金3,500万円のうちの3,000万円を銀行融資利率2.5%、返済期間20年とすると、1年の返済金は191万円となり、差額は8万しかならず、これが収入ということになります。
これでは、万が一修繕が生じた場合には、赤字になり兼ねません。
この赤字を節税目的で損益通算で処理するようでは、マンション投資をする意味がありません。それほど、利益を得るのは大変なことのようです。
売却益の場合
不動産市場は上昇傾向にあるといっても、購入した価格での売却はそう簡単なことではありません。
都市間格差があり、東京では投資用マンションの売却益が出る場合もありますが、これから先同じように行くかどうかは分かりません。
特に、中古マンションの売却では、ほとんど100 %が、購入時の金額よりも低い金額での売買になるようです。そういう意味では、家賃収入をベースにしての展開が無難のようです。
投資用マンションの種類は2つ
投資にも債権、株式、先物取引などいろいろありますが、それらと比較して不動産投資の資産価値の変化はそれほど激しくないことから、投資としてのリスクがないとみて、多くの人が参入しているようです。
実際に、賃貸が決まれば家賃収入は、株式の配当に比べても大きなリターンが期待できることが分かっています。
そのような投資用のマンションは、区分所有といってマンションの1室を所有する方法があります。さらに言えば、区分所有には、ワンルームタイプ、ファミリータイプがあります。それから、1棟マンションといって、マンション1棟を投資所有するものの2種類があります。
それでは、それぞれを見て行きましょう。
【1】区分マンション
区分マンションという言葉を初めて聞く人も多いと思いますが、これはマンションの一室を購入する形態の1つです。
例えば、10室あるマンションがあったとして、1人のオーナーが丸ごとそのマンションを所有するのではなく、10室それぞれに1室オーナーがいるようなマンションを区分マンションと呼んでいます。
区分マンション投資では、1棟すべてを所有することよりも1室だけへの投資ですので、投資金額も少なくて済みます。当然、1室ということで他のオーナーもいることから、家賃も好き勝手にはできずに、横並びにせざるを得ないこともあります。
したがって、購入する際には、他のオーナーがどれくらいの家賃で貸しているかを、事前に調べておくことが大切になります。しかしながら、区分マンションは価格が安いだけあって、利回りがいいと言われています。
これで、入居者が見つけやすければ、良い投資案件と言えるかも知れません。
区分マンションで建物検索をすれば候補物件を探すことが出来ます。
その場合の条件に㎡と、駅からの徒歩情報をチェックできるようにしておきましょう!
【ワンルームタイプ】
ワンルームタイプの間取りは1K、1DKで20㎡~30㎡弱のスペースで、主に単身者の入居を前提にしています。東京をはじめとする都市圏に親元を離れて、若い人が移住していることと、晩婚化、未婚化が進んでいることから、一人暮らしが多くなっています。
そういう事情があって、投資物件の区分マンションもワンルームタイプに修する傾向があり、価格自体もファミリータイプよりも割安感があるので、投資家にとっては買いやすい投資用マンションといえます。
【ファミリータイプ】
まず、区分ファミリーマンションを、ワンルームタイプの広さと比べてみます。
ワンルームタイプですと広いもので30㎡、狭ければ20㎡ぐらいですが、ファミリータイプの場合は、40㎡から60㎡程度までの広さが必要になります。
広さが2倍になれば、常識的には倍の賃貸料が取れると考えるでしょうが、そうはいきません。
例えば、ワンルーム30㎡で6万円の賃貸料が、60㎡のファミリータイプになった場合、12万円の家賃を取れるかというとそうはいかずに、取れても10万円がいいとこになってしまいます。
そういった意味では、ワンルームタイプでは、面積当たりの収益性は高く、入居期間は短くて、1室あたりの修繕費用は少なくて済みます。ターゲットは単身者や夫婦2人が見込まれ、この層はかなり期待できます。
一方のファミリータイプでは、面積当たりの収益性は少なく、入居期間はワンルームタイプに比較して長く、修繕費は多くなり、ターゲットである家族世帯は、どちらかというと少なくなっている傾向があります。
以上のことから、ファミリータイプはワンルームタイプに比べて、利回りが悪くなると見られています。
【2】一棟マンション
投資マンションでは、既に区分所有について見てきましたが、その他には1棟マンションの形態があります。これは、マンション1棟に投資するもので、金利が下がっている状況から投資する人が近年増加傾向にあります。
しかしながら、対象物件が1棟すべてということになりますと、区分所有とは違ってリスクが生じる場合があります。マンション1棟ということになれば、それこそ億単位の資金が必要で、この資金準備をどうするかが問題になります。
そして次の問題は、投資した資金の回収を如何にするかということです。万が一利益を上げる前に災害などでマンションが倒壊した場合、負債が発生することも考えられます。それだけでなく、空き室が出た場合ではそれもハイリスクになる可能性があります。
マンションの修繕や工事、共用部分の改修工事などは、すべてオーナーの一存で決めることができるので、裁量権が大きい反面、メンテナンス(エレベータ保守点検、外構の整備)の費用などは、その全てが負担になります。したがって、このように投資金額が大きい分野に参入するのは、限られた一部の人に向いた案件ということが出来そうです。
その一部の人たちは以下のようなメリットがあります。
- 経営力を発揮することで、不労所得を手にできる
- 会社を退職しても、病気になって働けない場合でも、収入を得る手段になる
- 低金利時代にあって、他の金融商品よりも利回りがよい
- 区分マンションでは土地はたいして残らないが、1棟の場合では土地が残る
- 節税対策、相続税対策に利用できる
投資用マンションのメリット・デメリット
投資マンションには、多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。
したがって、マンション投資をする場合には、メリット、デメリットをよく理解することが重要で、その上でマンション投資を検討するようにしましょう!
メリット
・安定した収入が確保できる
部屋の賃貸は年単位が多いので賃料の値下がりもなく、毎月決まった収入が確保できます。
・私的年金代わりになる
毎月の賃料収入が安定しているので、老後の私的年金として公的年金を補助する収入源になります。
・所得税、節税効果対策
投資マンションからの収入を元に、建物の減価償却、ローンの金利、固定資産税、都市計画税のような必要経費が引かれることで、所得税に対して節税効果が可能になります。
また、投資マンションが赤字になった際には、他の所得と損益通算が出来ますので、所得税、住民税の節税が出来ます。
オーナーがサラリーマンの場合では、投資マンションからの収入は、不動産所得として会社からの給与所得と合算の上で確定申告をしますが、賃料収入からマンションの管理費、利息(建物部分)、減価償却費のような必要経費がオーバーする場合は、不動産からの所得がマイナスになります。
その結果、全体にかかる課税所得が減額されることになり、所得税と住民税が節税対象になります。
・不動産の強み
投資マンションは資産になることから賃貸だけでなく、先行き自分の家族が住んだり、事業に活用したりして利用ができます。
・相続対策
相続対策としては、預金、債券、株式などは時価評価が普通ですが、投資マンションは路線価での評価になります。路線価は、実勢価格の70~80%の評価となることから、預金・ 債券・株式などよりは相続税額は低く抑えられる可能性があります。
・インフレ対策
物価が上がりお金の価値が下がるのはインフレの時です。その場合、マンションの資産価値・投資不動産の賃料収入が上がることが考えられます。それゆえ、インフレ対策には持って来いの手段になる一方で、売却した場合にはキャピタルゲインを得られます。
デメリット
・空き室が生じるリスク
投資マンションで空き室が生じた場合、すぐに入居者が決まるとは限りません。それが長引けば、当然家賃収入が入って来ないことになります。
・建物の劣化・老朽化
建物ですから当然経年劣化が進むわけで建物は老朽化します。そうなれば、修繕やリフォームする必要があり、費用が嵩むことが生じます。それによっては空き室のリスクが高まることになります。
・金利変動によるリスク
投資マンションを購入する際に、変動金利を選んだとすると、金利が上昇する場合もありますので、その際には、上昇分の金利負担が嵩むことになります。
・市場環境での売却リスク
市場の変化によっては、投資マンションを売却したいとした場合、すぐには売却できないこともありますし、環境変化によっては先行き売却できないというリスクもあります。
・投資マンションの下落リスク
景気動向の影響を受けることもあり、仮に不景気になった場合では投資マンションの価格が下落することもあります。
新築マンションVS中古マンション
投資マンションで収益を!!
と考えている人は対象物件を新築にするか、それとも中古でいいのか、選択に迷うのではないでしょうか。
新築ということになれば、当然建物、設備は新品だし家賃設定も高くできますし、当分は修繕も必要ないことになります。
しかし、中古の場合はどうでしょうか。
家賃は相場もなければ、それ以下という場合もあり得ますし、修繕を施さなければならないこともあります。
そこで、新築と中古の、メリット、デメリットについて考えてみましょう。
投資マンションが新築の場合
【メリット】
・融資が受けやすい(少額でスタートできる)
新築は価格が高い傾向にあります。もちろん購入しようとする物件にもよりますが、銀行の評価は高くなりますので、融資が受けやすくなります。評価された物件次第では100%融資を受けることが可能な場合もあります。
・家賃を高く設定できる
前述しましたが、建物、設備が真新しいので家賃を高く設定できます。
・10年間は修繕・リフォームの心配がない
修繕やリフォームの必要性がないのが新築のメリットです。さらに、耐震性の問題など多くの問題は解決された物件になっています。
・運営面で省力化ができる
投資マンションが新築の場合は、入居者の募集について立地条件さえよければ、ほとんど苦労することはありません。
・売却時には高価での売却が可能
新築の方が、資産価値が高いために売却時にも有利な条件が提示できます。
・税金対策と納税額
設備の減価償却は建築時から15年間は続きますので、原価償却額は経費処理が可能になります。そうなると決算上では、収入が減ることで所得税が少なくなるというわけです。
【デメリット】
・購入価格が高い
投資マンションが新築物件の場合は、どうしても購入金額は高くなるのは仕方ありません。そのために、より多くの素金が必要になります。それが、次の利回りに影響を及ぼします。
・利回りが低くなる
物件が新しい分安くは買えませんので、その分月々のローン支払いが多くなりますし、家賃でローン返済が出来ない場合も起こり得ます。となると、当然月々の支出が増えることになります。
・入居者がゼロから始まる
投資マンションが新築物件の場合、入居者を最初から募集しなければなりません。いくら新築だからといって、家賃が他の中古マンションよりも高すぎると、入居が苦戦することもあります。立地条件がかなり影響を及ぼします。
・家賃が年々下がって行く
新築のタイミングでの入居者が入る場合では、高めの家賃設定でも通ったかもしれませんが、一度退室して二度目の入居者を迎える際には、すでに新築ではなくなります。もちろん、新築当時の家賃では入居してくれない、ということになるでしょう。となれば、当然家賃を下げることになるので、その回数が多くなればなるほど、家賃は下がって行くことになります。
それと並行して、建物の価値も下がって行くことになります。
投資マンションが中古物件の場合
【メリット】
・購入価格が安い
中古マンションのメリットの第一に挙げられるのは、価格が安いことです。つまり、その分だけ初期費用を抑えることができるので、メドを立てやすいということが挙げられます。中古マンションは新築マンションとは違って、売り手と買い手の条件が整えば、それで物件の価格が決まります。
・利回りが高い
新築マンションではできない低価格で、しかも利回りのいい物件を手当てできる上に、初めから物件を確認することが出来るため、納得して物件購入ができます。新築に比較して、家賃は下げなくてはいけませんが、物件そのものが低価格になっているため、実質的な利回りは高くなる傾向があります。投資利回りは、家賃収入÷物件購入金額ということで、自分ですぐに計算できます。
・物件の管理状況のチェックが可能
入居者が入っていることから、物件がどんな管理状況にあるかを事前にチェックすることが出来ます。管理状況のチェックは今後の運営に対して大事なポイントになります。
【デメリット】
・マンションの利用年数が短い
マンションの耐年数にも限りがあるので、投資したマンション次第では、利用年数が短くなる可能性があります。当然、購入金額、家賃にも関係しますが、投資資金を回収できないことも起こり得ます。
・修繕、リフォームなど設備の老朽化が問題に
投資マンションの築年数が古ければ古いほど室内の設備は老朽化し、時代にマッチした生活空間になっていない場合が多くあります。その分、家賃が安くなっているわけですが、場合によっては、風呂、トイレ、エアコン、 給湯設備などを含めて交換することも起こり得るので、損益計算を事前にしっかりとしておく必要があります。
・希望する物件がないことも
現代風の仕様や、間取りにはなっていないことが多く、希望するような物件にお目にかかれないことがあります。万が一、手を加えるようなことがあったとしたら、それだけで収支計算、損益計算に影響が出てきますので、事前のチェックが重要となります。耐震についてもしっかりとチェックをしておきましょう。
不動産投資で節税は可能?
投資マンションでは、所得税、住民税、相続税などの税金を節税できますが、それには条件があります。その仕組みをしっかりと認識した上で、対処するようにしなければなりません。
特に、その対象者になるのは誰なのか、そして、どのようにすればいいのかを見て行きます。
【1】節税対象者と節税の仕組み
投資マンションでは、所有者が個人なのか、法人なのかによってと、税金の中のどの税金を節税するのかによって、仕組みが変わってきます。
まずは、個人から見て行きましょう。
【個人の場合】
- 所得税
個人の場合で、マンション投資をしていて赤字が生じた場合には、月々の給料から天引きされていた所得税(源泉徴収税額)を、赤字に見合った分だけ戻すことが出来ます。
所得税が節税できるのには次のような条件(赤字)の成立がなければなりません。
家賃収入-必要経費=マンション投資所得
家賃収入>必要経費=黒字
家賃収入<必要経費=赤字
このように赤字になれば、損益通算といって給与所得と赤字を合算することが出来ます。
住民税は、前年度の控除後の課税所得に対して、所得ごとに適用される税率で徴収されますので、損益通算で所得税の節税が行われれば、当然、住民税も節税することが出来ます。
- 減価償却費の活用
投資マンションは減価償却で、購入時に購入したマンションの金額を、費用として計上をするのではなく、毎年の費用に置き換えて計上します。
そのあり方を簡単に示すために、仮に1,000万円で20年間対応できるマンションを購入、その場合の減価償却がどうなるかを当てはめてみます。
この場合の減価償却費は、1,000万円を20年で割った50万円ということになります。
算上の不動産所得 | 実際のお金の流れ | ||
家賃収入 | 110万円 | 家賃収入 | 110万円 |
減価償却費 | 30万円 | ― | ― |
その他費用 | 20万円 | その他費用 | 20万円 |
不動産所得 | 60万円 | 手元資金 | 90万円 |
ここに参考表を掲出しましたが、これは、減価償却費を取り入れた所得60万円で税金が計算されていて、手元の現金である90万円が税金の対象になっていません。
つまり、減価償却費があるため帳簿の上での利益が少なくなることで、その分だけ損益通算によって、節税が出来ることになります。
- 相続税
相続税のポイントは、課税評価額がポイントになりますので、相続の対象を変えることで対応をします。つまり、相続の対象は現金ではなくて、不動産―マンションに変えることで、課税評価額を減らすことができます。相続税は、現金に対してはその時価に課税されるのですが、不動産―マンションの場合では売買価格ではなくて、評価額をベースにして算出される仕組みになっています。
そもそも相続税は、(すべての財産額-基礎控除額)×相続税率で計算されます。
この場合の基礎控除額は、3,000万円+600万円×相続人数となります。
この計算式で行けば、
★相続人が2人の場合
3,000万円+600万円×2ということで4,200万円ということになります。
したがって、この金額を超えなければ相続税はかからないことになります。
例えば、1億円の財産があったとして、相続人が2人の場合で、仮に現金で1億円だとしたら、
控除額は上記の計算式から4,200万円ということで、
1億円-4,200万円=5,800万円
となり、これに相続税率がかけられます。
ところが、土地で1億円とした場合には、基礎控除は同じ4,200万円になりますが、土地の場合の路線価の価格で見ますから、それが、仮に公示価格の80%だとすると、土地の評価額は、
1億円×80%=8,000万円
となり、
相続税は、8,000万円-4,200万円=3,800万円
この金額に相続税率がかけられます。
このように、現金の場合では5,800万円に相続税率がかけられますが、土地の場合では、3,800万円に相続税率がかけられます。
建物の場合は固定資産税評価額に基づいて評価がだされ、建築費用の50~70%とされています。
【法人組織の場合】
法人の場合は、会社からの給料と家賃収入が1,300万円を超えるようになった時には、法人組織にした方が、メリットがあります。
というのも、法人にかかる税率は個人にかかる税率よりも低いので、その方が、メリットがあります。
実際に、税率にして7~17%税率が下がります。
そこで、マンション投資では法人化するタイミングを見極めることが重要です。
これには個人にかかる所得税と、法人にかかる法人税の問題を読み解くことがポイントになります。
つまり、個人と法人の税率が逆転するポイントがあり、それが900万円を超えるタイミングと言われています。
というのも、この金額を超えるようになると、所得税と住民税の税率が33%を超えることで、法人税よりも高くなるからです。
サラリーマンで年収1,000万円を超えるようになると、給与だけで30%の税率を超えるため、マンション投資でその分所得を合算されるとしたら、法人化したほうが節税メリットを感じられるようになります。
そして、できたら家族を役員にして報酬を支払うことにすれば、所得が分散されることになるので、税率を下げることができるというわけです。
【2】節税の落とし穴
節税ばかりに視線が行っていると、森を見ないで木を見ている状態に陥るかも知れません。
マンション投資の目的は、長期的に安定した収入を得ることにあります。
節税対策での物件選びは目を曇らせるようなことが起きないとも限りません。
利益が確保できて黒字になっていれば、投資そのものがうまく展開しているといえます。そこで、どんな落とし穴があるのかを見て行きましょう。
- 空き室がリスクを呼び込む
マンション投資は相続税を引き下げることが出来ます。それこそ、現金を持っているよりも評価額は1/3程度まで下げてくれます。とは言っても、しっかりとした賃貸需要があってこそ、それが実現できるのであって、立地条件をはじめさまざまな条件を検証することで、空き室を生まないような施策を打たなければなりません。
- 借り上げ家賃を信じない
区分マンションではそんなに心配することはないかも知れませんが、1棟マンションでは、物件を紹介してくれた不動産会社が物件の借り上げ保証をしてくれます。といっても、家賃は新築時のまま続くわけではありません。
必ず、家賃の見直しはあるはずで、それに同意できないような場合は借り上げ契約を破棄させられるようなことが起きるかもしれません。特に、賃貸需要が旺盛でない土地に建てられた建物は、老朽化すればするほど、商品価値が落ちるわけですから、売りに出しても買い手がつかないことも考えられます。
投資用マンション選びのポイント
マンション投資でのポイントには、立地、人口動向のチェック、間取りのファッション化が挙げられます。
【ポイント①】立地
- 若者や女性を含めて全国的に知名度や人気度があるところ
- 外資ファンドが目付けるような場所
- 人気の割にはマンションの供給が見られないところ
- 再開発や新規鉄道路線の期待値が高いところ
- 大学などの進出が期待される場所
【ポイント②】人口動向のチェック
1棟マンションもそうですが、区分マンションも単身赴任用の分野は伸びています。特に、都市圏についてはその割合が大きくなっており、その傾向は今後も続いていくものとされています。中でも東京への人口集中は増え続け、減ることはありません。
ビジネスとキャンパスゾーンの拡大が、単身者を糾合するエンジンとなっていますので、ますます区分マンション、ワンルームタイプのマンション需要が高まってくると考えられます。
【ポイント③】間取りのファッション化
単身者のマンションライフを十分に刺激するような間取り、設備、収納など、部屋の構成が住む人に快適な空間を与えることが出来ているかが問われるようになっています。
20㎡をそう感じさせない工夫と空間領域の演出が必要になります。
実際に間取りプランの良し悪しで生活スタイルが変わってきますので、機能性を活かした間取りプランの提案が必要になるでしょう。さらに、安全と安心に関心が高いのも単身者の特徴ですので、その分野の改善も重要なポイントになります。
例えば、オートロックやドアモニター、インターフォン、などの設備はマストで必要なアイテムになっています。その分賃料が高くても、女性にとってはなくてはならない付加価値と言えるでしょう。そして、音。上下からの音に対しては、トラブルの元になりこともあるので十分な配慮が求められます。
マンション投資の原点は節税ではありません
マンション投資の目的を、節税効果を期待して購入する人が多くいます。
前述した家賃収入<必要経費=赤字の場合、税金の還付があることで節税ができることを紹介しました。ローンの返済は支払利息を減らしますし、減価償却費も同じように減少します。しかし、経費の減少は、やがて、収支が黒字化することをもたらすようになります。そうなると、節税効果も減ってくることになります。
黒字が出るようなマンション投資を運営することができるようになれば、それこそ収益構造が健全化していることの証明になりますので、節税だけを目的にしないで本来の目的である、マンション投資の原点に振り返り検討することが必要となるでしょう。
・投資用マンションの投資効率を見るには、表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
・投資用マンションには区分マンションと1棟マンション
・投資用マンションの狙いの1つに節税効果を期待
・投資用マンションには、新築マンションと中古マンション
・投資用マンションを選ぶポイントは立地条件