老後の平均貯蓄は?不安のない老後生活を送るためにはいくら必要か
サラリーマンとして勤めている方であれば誰でもやってくるのが定年です。
自営業の方でも老後はリタイアを考えている人も多くいらっしゃることでしょう。
誰もがゆっくりとセカンドライフを満喫することを理想としている中、老後に優雅に暮らそうと思えばそれなりの貯蓄が必要になります。
また、働かずに生活をするということは、最低限の必要生活費も気になるところです。
ところで老後に豊かな生活を送るためにはどれくらい必要で、実際世間ではどれくらい貯蓄しているのでしょうか。
ここでは老後の平均貯蓄と実際にいくら必要なのかを解説します。
年代別平均貯蓄
まず世の中の人々はどれくらい貯蓄をしているものなのかを見てみましょう。
厚生労働省の年代別平均貯蓄によれば、年齢を重ねるごとに貯蓄額が増えていっていることがわかります。
一番下は29歳以下ですが、この年代ではまだまだ貯蓄がないと答えた人が18.3%に上り、年代別で最も高くなっています。
20代は仕事や結婚・子育てのはじまりでもあり、なかなか貯まらないというのが現実です。
ちなみに「ある」と答えた人の平均貯蓄額は180万円ほどです。
30~39歳は仕事でキャリアを積んで安定してくることもあり、515万円が平均貯蓄額と29歳以下の約3倍弱の計算になります。
さらに40~49歳では886万円が平均貯蓄額となっており、50歳を超えると1,000万円を突破して50~59歳では1,327万円です。
年齢を重ねるごとに給料が上がったり、子どもが自立したりするため、比較的貯蓄がしやすくなっていると考えられます。
29歳以下では多かった「貯蓄がない」ですが、30歳以上は貯蓄がないと答えた人は激減しており、10%を切っていることがほとんどです。
ここからわかることは、ほとんどの人が将来に向けてきちんと貯蓄をしているということです。
老後の不安を抱えていることも一つの要因だと考えられます。
高齢者世帯の平均貯蓄
50代までの貯蓄を見てきましたが、気になるのは定年退職後の貯蓄です。続いて60代以降の平均貯蓄を見てみましょう。
60~69歳では平均貯蓄額は1,500万円を突破しています。
定年までに貯蓄をする人が多いからだと予想されます。
しかし70歳以上になると1,295万円に貯蓄額が下がっていきます。
仕事を退職し、収入が減ってしまうことが原因で、ここからは年金受給額以外に収入がない人が多く、貯金を切り崩していくことになります。
ちなみに定年退職後の65歳以上を対象とした平均貯蓄額は1,334万円です。
平均貯蓄額から考えて、ほとんどの方が老後の資金を貯めておこうと考えていることがわかります。
定年退職後に必要な生活費
定年退職後に必要な生活費を計算したことがある人は少ないのではないでしょうか。
そこでここからは必要な生活費を解説してきます。
まず、世間の人々はどれくらい生活費が必要と考えているのかを見てみましょう。
金融広報中央委員会が実施する「家計の金融行動に関する世論調査」では、老後の生活費を予想したアンケートが発表されていますが、年金支給時までに準備しておきたい貯蓄は2,016万円であると発表されています。
日本では基本的に納めた分の年金受給額を得られることになっていますが、それとは別に2,016万円貯めたいと思っている人が多くいるということです。
もちろん年金の支給もありますが、それだけでも足りない可能性があります。
現実的に貯められる金額と、貯めたい金額にはそれなりに差ができてしまうことがわかります。
想像しやすいように少しシミュレーションしてみましょう。
65歳で定年退職して、そこから約30年生きたと考えてみてください。生活費は30年分であり、それを少し多めに3000万円で割って計算してみてください。
どうでしょうか。
3000万円あったとしても、月々の金額は10万にも満たないのです。
家賃や光熱費のことを考えると非常に心もとない数字といえます。
このように現実的な想定をして資金を用意する必要があるのです。
「家計の金融行動に関する世論調査」では、老後の月々必要とする予想生活費でアンケートを採っていますが、平均はなんと27万円です。27万円を12か月で324万円、30年ほど生きるとすれば、9,720万円となります。
老後の生活費は意外と多いのです。
そう考えると、必要な貯蓄にはほとんどの人が到達していないことがわかります。
老後生活に必要な貯蓄
定年退職してからの必要貯金額についてお話をしてきましたが、前述しているのはあくまで生活費の部分です。
家賃や光熱費・食費・日用雑貨などを含めて考えた最低限の貯蓄です。
しかし定年退職後、ただ淡々と暮らしていくだけと考えている人は少ないのではないでしょうか。
前述した通り、たいていの方が理想としているのは豊かな老後生活です。
旅行に行ったり今までできなかった趣味を楽しんだり、子どもや孫にいろいろとしてあげたいと考える人も多いことでしょう。
必要最低限の貯蓄だけでは残念ながらそうしたことは不可能です。
また、あなたがいくらシンプルな生活を好んだとしても、何十年後かには物価が上昇している可能性もあります。
その時にいつの間にか生活水準に必要な金額が上がってしまっていることもあるでしょう。
しかし平均貯蓄額を見てわかる通り、とても自分でコツコツと貯金するだけでは金額を溜めることは難しいといえます。
だからといって、若いうちから老後のために日々の生活を切り詰めるのでは本末転倒です。
今のうちに考えておくべきこととしては、お小遣い稼ぎや副収入などを利用して、現在の給料とは別に必要貯蓄や必要生活費を貯めておくことです。
長期的な目で見れば勤めているうちから投資をして資金を増やすのも良いかもしれません。
銀行に預けていても金利はどこも1%を切っており増えるのはほんのわずかです。
その点、株や不動産に投資していれば貯金より利回りがよく、数%に上るため貯蓄が大幅に増える可能性があります。
不安な方は投資信託を利用することもできます。
自分の資金をプロの専門家にまかせて運用してもらうのです。
副収入の内容にもよりますが、うまくいけば老後もちょっとした空き時間を利用するだけで資金繰りできる可能性があります。
不動産投資はほとんど手をかけずにできますし、老後の管理も難しいことはありません。
老後も収入が別に入ってくるのであれば若いうちから無理に貯めずとも余裕が持てます。
いずれにしろ、自分らしいやり方で貯蓄をしていくことが重要です。
老後を充実させるためには早い段階からの貯蓄が大切
老後の貯蓄額の平均を紹介してきましたが、その金額では十分な生活をするには足りないことがわかります。
しかし貯蓄は平均値ではなく、平均金額の真ん中である「中央値」が一般的な貯蓄の平均とする考え方もありますから、ことさらに焦ることはありません。
大事なのは老後の貯蓄をどうするか今から考えることです。
今回とり上げた投資以外にも、個人年金保険に加入して国民年金とは別に保険料を積み立てて資金を確保する方法もありますし、面白いところでは「げん玉」などのポイントサイトに登録してゲームをすることでポイントを貯蓄し現金や電子マネーに換金する方法もあります。
旅行や趣味を楽しむためにも、自分なりの方法で老後の貯蓄を貯めていくようにしましょう。
年金だけでは足りないのが現実ですから、しっかりと老後の生活と向き合うことが大切です。
- 老後の平均貯蓄は1,300~1,500万だがこれでは心もとない
- セカンドライフを満喫したいなら余裕をもって貯蓄しておくことが必須
- 定年退職する前から副収入や投資を利用して貯蓄をしておくべきである