投資と貯金のバランスは?あなたの資金にベストな割合を徹底解説
資産形成のための運用を行う時、投資でお金を増やすか貯蓄で堅実に貯めていくかは迷いどころではないでしょうか。
しかし、実際には、どちらか1つに偏るのではなく、投資に利用する資産と貯蓄で守る資産をバランスよく持っておくことが大切です。
そして、投資にはリスクもつきものですから、余剰資産を使って、大きな利益を狙います。
一方で、もしもの時のために、貯蓄もしっかり行うことが理想なのです。
そこで、今回は、投資と貯金のベストバランスについて解説していきます。これら2つの方法の割合をどのように取るかは、人それぞれです。
どのようなバランスで資産運用を行えばいいか、是非参考にしてみてください。
Contents
投資と貯金の関係性
資産形成を行うにあたって、「貯蓄から投資へ」というスローガンがよく引き合いに出されます。
これは、金融庁が2000年代前半から掲げてきたものです。
このような動きを推進するのは、日本人の少子高齢化が進み、公的年金の仕組みが不安定となっていることが理由の1つです。
さらに、銀行などの金融機関では、超低金利時代を迎えて久しく、貯金をしているだけでお金が増えることはなくなりました。
そこで、資産形成の次の形として、投資によって資産を増やしていくという考え方にシフトしようというのが「貯蓄から投資へ」の考え方です。
この動きを促進させるものとして、政府は、2014年にNISA(少額投資非課税制度)をスタートさせました。
NISAは投資額10,000円前後からの少額でも投資を始められるうえに、投資額120万円までなら売却益や配当金などの利益が非課税となる制度です。
この制度により、多くの人が気軽に投資を始められるようになりました。
しかし、貯蓄から投資へシフトする動きはあまり活発ではありません。
2016年のデータでは、個人金融資産のうち現預金が52.3%、投資信託は5.0%、株式は8.6%にとどまっています。
これは、日本人にとって投資が難しく、ハードルの高いものという認識であることが理由にあげられるでしょう。
2016年、金融庁の「金融レポート」では、「貯蓄から資産形成へ」という項目が登場しています。
投資という言葉から資産形成という言葉を使い、リスクを伴う賭けのようなイメージから、着実に資産を作って増やすものにしていこうとマイナーチェンジしたのです。
投資を多くするとどうなる?
では、貯金と投資において、投資の割合を多くした時には、どのようなことが起こるでしょうか。
そのメリットとデメリットの両面を見ていきます。
メリット
大きなリターンを得られる可能性がある
投資が貯蓄と決定的に違うのは、その資産を増やせるかどうかということです。
現在所有している資産の中で投資額を増やせば、その分たくさんの口数の金融商品を購入することができます。
これにより、売却益や配当金で大きなリターンを得られるのです。
長期的運用で複利効果が期待できる
投資において長期的な資産運用をする時には、複利効果が狙える可能性があります。
複利とは、元本に加えて付与された利息にさらに利息がつくシステムで、ついた利息は次の投資商品の購入に回すことも可能です。
この効果により、投資額が大きければその分雪だるま式に資産を増やすこともできます。
デメリット
資産を減らしてしまう可能性もある
投資によって、大きなリターンを得れば資産を増やすことが可能になります。
しかし、投資商品の価格の下落によって、元本割れを起こすなどのリスクを負う危険性もはらんでいます。
貯蓄より投資の割合を多くしていると、手元に残る資産を減らしてしまい、将来のために必要な額を手放す結果にもなりかねません。
市場動向などの知識が必要
投資商品の価格変動については、予測が難しいものです。
そのため、投資で資産運用するにあたっては、市場動向や売買のタイミングなどの知識をある程度持っておくことが必要です。
また、リスクを回避するための方法についても考慮に入れておかなければなりません。
貯金を多くするとどうなる?
次に、貯金と投資の割合で、貯金の方を多くした場合に起こり得るメリットとデメリットについて見ていきます。
メリット
堅実にお金が貯められる
銀行にお金を預けて貯金すれば、その金額が減ることはありません。
つまり、貯めれば貯めた分だけ資産となり、堅実に資産形成をすることが可能になるのです。
もし投資で損失が出たとしても、貯金があればある程度の資産を守ることができ、安全性が高くなります。
自動積立定期預金なら手間なしでお金を積立てられる
通常の定期預金では、いったん預け入れた金額はそのままです。
しかし、自動積立定期預金を利用すれば、毎月決まった日に自動的に定期預金口座に積立を行うことができます。
このシステムを利用すれば、その都度貯蓄用口座にお金を移し替える手間もなく、簡単にお金を貯められますし、普通預金よりも高めの金利が設定されています。
デメリット
大幅に資産を増やせない
銀行に預金した場合、金利があるといっても、その数値は微小なものです。
定期預金にしても、金利が高いところで年0.2~0.3%程度ですから、大幅な資金の増加を見込むことができず、元本が少なければ、十分な資産形成が行えない可能性があります。
定期預金をすると流動性が低くなる
投資よりも貯金の割合を多くし、その金額を定期預金に回した場合、定期預金の満期が来るまでお金を引き出すことができなくなります。
この流動性の低さから、自由にお金を動かせなくなるのは不便だといえます。
資金によってベストな割合を考える
次に、資産運用において貯金と投資を併用した場合、その割合ごとにどうなるかを見ていきます。
投資3:貯金7
これは、比較的貯金の割合を多くしたバランスです。
投資によって得られる利益は少なくなるものの、貯金を多くしていることで、資産の多くを守ることにつながります。
万が一投資で損失が出たとしてもリスクを少なくできるでしょう。
投資5:貯金5
投資と貯金の割合を半々にすると、投資3:貯金7のときよりも投資で得られる利益は大きくなります。
そして投資で損失が出ても、半分は貯金が残っていますから、思い切って投資につぎ込みたい時にはこれくらいでもいいかもしれません。
投資7:貯金3
今度は、投資の割合を多くした場合です。
この時は、上記2つのパターンよりも投資で得られる利益が大きいですが、その分資産を失うリスクも高くなる覚悟が必要です。かなりの挑戦になる割合といえます。
どの割合にするかは、投資にどの程度慣れているか、また、リスクを負っても資産を増やべきかによって変わります。
投資に慣れていない人は、やはり投資の割合を少なくする方が無難ですし、投資に心得があるのなら、思い切って投資の割合を増やすのも手です。
また、購入する投資商品の性質によってもリスクの度合いが変わってきます。
ハイリスク・ハイリターンのものを選ぶか、ミドルリスク・ミドルリターンのものを選ぶかで、運用結果は異なるでしょう。
いずれにしても、投資を行うなら貯蓄ありきで、さらに余剰資産があるなら投資につぎ込むという意識を持っていた方がよさそうです。
ベンジャミン・グレアム
投資を行うにおいて、知っておいて損はないある投資家の存在があります。
それは、ベンジャミン・グレアムという経済学者で、投資において多くの実績を残してきた偉大なるプロの投資家でもあります。
彼は、市場を客観的に見て、理論的に投資を成功させる方法を提案し、実際に成功を収めてきたのです。
そのグレアムが提唱するのは、堅実な投資であり、その原則を要約すると、以下のような内容になります。
- 投資は元本を守った上で適切に利益を得ること
- 手元にある資金はひとまとめにしてはならない
- 投機家とは、株価の変動を読んで利益を得るもの、投資家とは株式を適正価格で購入し、それを保有するもの
- 割安銘柄が持つ安全域の原則を守ることでリターンを得ることができる
さらにグレアムは、現代の投資家にも役に立つ思想を数々打ち出しています。
例えば、「世界の景気の変動にかかわらず、堅実な投資を行えば結果が出る」「個人投資家は自分自身でコントロールできることに集中すればいい」などです。
いずれも投資家にとっては、常に持っておきたい姿勢ではないでしょうか。
グレアムが提唱した内容は、変動する市場に一喜一憂するよりも、長期的に見て地に足のついた運用を行うべきだと教えてくれます。
それは、市場の動きがあった時にも冷静に戦略を立てるということでもあるでしょう。
その戦略の取り方によって、投資への勝算の有無を見計らい、貯金と投資の割合を臨機応変に変えていくのが賢い方法だといえるのです。
最後に
10年前と比べ、投資のイメージは変わりつつあります。
そこには、経済低迷が長期化し、少子化が進み、インターネットが普及したという複合的な要素が絡んでいることが考えられます。
企業の退職金や国民年金の給付金も、確実にもらえるとは誰も断言することは出来ない時代です。
一人ひとりが、意識して自分の人生を見据える必要があります。
投資に興味がなかった方も、この内容をきっかけとして資産形成への意識が変われば幸いです。
- 資産形成は投資と貯金の2つの資産運用をうまく組み合わせていくのが賢い方法
- 貯金と投資のバランスはどれがベストかは人によって違う
- 投資する場合は市場の動きによって柔軟に対応できるようにしておくべき
- ベンジャミン・グレアムの著書には投資の基礎となる内容が多く記されているため 参考になる