老後資金は夫婦でいくら必要なのか?貯金する方法とポイントを解説
2018年現在、現役を引退した世代には、生活保護以下の年金支給だけで生活している夫婦も多く、これが社会問題としてメディアで取り上げられることもあります。
心と体が健康で、豊かな老後生活を送るためには、仕事をしているときから老後資金をしっかりと確保しておく必要があるでしょう。
今回は、老後を迎えた夫婦世帯に必要な資金額の目安と、貯金の方法について詳しく解説します。
老後に漠然とした不安を抱えている方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
老後に不安を抱く割合
公益財団法人「生命保険文化センター」が実施した意識調査では、老後の生活に「不安感あり」と回答した割合が85.7%であることがわかりました。
この中で「非常に不安を感じる」と回答した割合も22.7%と低くなく、多くの方が危機感を持っている結果となっています。
性別調査では、「不安感あり」と回答した割合が、
- 男性:82.1%
- 女性:88.4%
と、女性の方が老後に対して不安を感じていることがわかります。
参考元:http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/5.html
彼らは、具体的にどんなことに対して不安を感じているのでしょうか。
年金制度への不安が1位
同調査での、不安を抱く内容についての内訳をみると、
- 公的年金だけでは不十分:80.9%
- 日常生活に支障が出る:57.2
- 自助努力による準備が不足する:36.7%
となっています。
「公的年金だけでは不十分」に関しては、年金をもらっている団塊世代の中に質素な暮らしを余儀なくされている方が多いことや、将来の一人当たりの年金受給額が減るという予想が、現役世代に浸透していることが不安を煽っていると考えられます。
「今の生活でも精一杯なのに、将来の生活費のことまで頭が回らない」というジレンマの中で、多くの人が貯蓄などに対して関心があるものの、実行できていないというのが現実です。
必要といわれる老後資金
2017年の総務省の家計調査における「高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の家計収支」では、高齢夫婦無職世帯の社会保障給付による収入が月平均で約19万円であるのに対し、支出が約26万円であることから、月々7万円程度の不足が発生していることがわかります。
参考元:http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gy02.pdf
この不足分は年間で【7万円×12ヶ月=84万円】となり、老後期間が20年で【1680万】円、25年で【2100万円】も不足してくると計算できます。
この生活費の不足分に加え、家の修繕費や医療費、冠婚葬祭費などを考慮すると、老後資金はおよそ【3000万円】ほど必要になると考えられます。
あくまでも老後生活25年で3000万円は目安であって、60歳での引退を想定しているので、その年齢を超えても働き続ける方や退職金が期待できる方にとっては、もっと資金は少なくてもよいでしょう。
ただし自営業者の場合、国民年金しか受給できず、厚生年金加入者よりも収入が減るため、老後資金は多めに見積もっておく必要があります。
また、持ち家が無く住居費がかかり続ける方も、老後資金を多めにみておく必要があります。
余裕をもって過ごせる老後資金
公益財団法人「生命保険文化センター」が行った「生活保障に関する調査」では、余裕がある生活を送るためには、最低限の生活費に加えて月平均約13万円あればよいとされています。
最低限の生活費を加えると、合計で約35万あればゆとりのある生活が送れるでしょう。
参考元:http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html
前述した通り現段階の夫婦の月額支給額19万だとすると、【35-19=16万円】が月に必要となります。
したがって、1年間で【16万円×12=192万円】、25年間で【4800万円】となります。
しかし、普通の会社員が老後資金を4800万円貯めるためには、今のままの貯金方法だけでは難しいかもしれません。
株式投資や投資信託などの金融商品で資産を増やしたり、不動産投資でストック収入を期待するなどの方法もありますが、この方法はリスクを伴うことを理解しておかねばなりません。
貯蓄方法
少しでも老後資金を増やすために、貯金などは早いうちから蓄えておく必要があります。
ここでは、利息がほとんどつかない普通預金よりも有効な貯蓄方法を紹介します。
この機会にぜひ検討してみましょう。
定期預金
定期預金は、預けたお金が一定の期間引き出せない代わりに、普通預金よりも高い利息をつけてくれるという金融商品です。
定期預金には、毎月一定額を預金する積立定期預金や、預け入れが1000万円からの大口定期預金などがあります。
定期預金はネット銀行を利用するのがおすすめです。
メガバンクや地域の銀行の定期預金金利は0.01%程度ですが、ネットバンクの定期預金金利は0.1%〜0.2%が期待できます。
当然、貯金がマイナスになってしまうリスクもないため、資産運用初心者におすすめの商品です。
DC制度
DC制度とは、確定拠出年金制度のことを指します。
DC制度には、企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)の2つがあります。
- 企業型確定拠出年金
会社が運用主となって、従業員の掛金を運用します。
掛金は、給与とみなされないので、節税効果が期待できます。
- 個人型確定拠出年金
すべての運用判断を自分で行います。
掛金は、所得控除となるため、所得税や住民税の支払い額が減ります。
個人型確定拠出年金については、2017年1月以降、従来の企業年金を利用していたサラリーマンや公務員、専業主婦も原則利用できるようになりました。
ただしサラリーマンについては、会社の規約の問題もあるため、直接確認を取るようにしましょう。
DC制度では、元本保証型の商品とそうでない商品の2つから好きな方を選ぶことができます。
元本保証型の商品には、定期預金や個人年金保険があります。
元本を保証してくれるので、損をするリスクはないですが、大きな運用成果は期待できません。
一方、株式や投資信託での運用は、大きなリスクを伴います。
損をする可能性も大きく得する可能性もあるため、十分に検討する必要があるでしょう。
いずれにせよ、保険金を受け取っても元本割れする可能性が高く、保険料も高い終身保険の保険者になるよりも、DC制度を利用する方がおすすめです。
財形貯蓄
財形貯蓄は、給料から天引きしたお金を積み立てる貯蓄のことです。
勤務先によって金利などの条件は異なります。
一般的には、普通預金よりも数倍〜数百倍高い金利で複利運用する場合が多く、天引き制度で、浪費癖のある方も無理なく貯蓄できるのでおすすめです。
思わぬ出費があるのを忘れてはいけない
国民年金や厚生年金保険など、老後の収入は一定であり、急激に増えることはありません。
しかし支出については、思わぬところで大きな額を失う可能性があります。
老後生活における思わぬ出費は、以下の4つを対象に向けたものです。
- 自分
- 配偶者
- 子供
- 他人
自分に対する出費は、主に医療費が挙げられます。
医療保険制度もありますが、負担する額は少なくありませんし、継続的に病気と付き合っていく人も多いため出費がかさみます。
配偶者に対する出費は、離婚費用や死別費用が必要になることがあり、予期せぬ事態でお金が出ていく場合があるでしょう。
子供に対する出費は、結婚資金や住宅購入資金の援助などが挙げられます。
また、孫に対して物を買ってあげて出費がかさむこともあるでしょう。
他人に対する出費は、主に冠婚葬祭費用が挙げられます。
できるだけ余裕のある老後資金を
豊かな年金生活を送るためには、老後資金を早いうちから形成しておくことがとても大切です。
将来の年金額が現在の水準よりも下がるリスクや、平均余命が伸びて長生きするリスクに備えて、試算よりも多めの額を用意しておくとよいでしょう。
年金についてさらに詳しく知りたい方は、厚生労働省や日本年金機構のホームページを訪ねて調べてみてください。
今回紹介した資産運用の方法を参考にしながら、今から老後資金づくりの計画を立てていきましょう。