年収950万の実態調査!その手取りと気になる平均貯金額は?
国税庁の最新の民間給与実態統計調査結果によると、給与階級別分布で900万円から1000万円の年収の人は、全体の1.8%だと発表されています。
希少な割合とはいえ、1000万円を超えない程度の年収なら、目指せないこともなさそうだと考える人が多いようです。
年収は、源泉徴収される税金や社会保険料、年金などが差し引かれる前の年間の収入のこと。
諸々、差し引かれると、手取りはだいぶ減った金額になります。
では、差し引かれると、いったいどのくらいの金額になるのでしょうか。
ここでは、年収950万円の実態について、手取り額や平均貯金額、支出の概要などを紹介します。
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年収950万円は手取り688万円!?
「年収950万円も収入があるなんて、羨ましい!」と思う人がほとんどでしょう。
あと50万円プラスされれば、年収1000万円に手が届くのです。
リッチなイメージがつきまとう年収950万円ですが、実際のところは、リッチとはいえないような生活を送っている人ばかり。
というのも、年収950万円の手取りは700万円に届かない金額なのです。
もっと低い年収の人からしたら、贅沢な悩みかもしれませんが、年収950万円だからといって、余裕のある生活を送れるとは限りません。
特に、物価が高い東京で暮らしている場合、年収950万円世帯からも「余裕がない」という声がよく聞こえます。
例えば、夫婦2人に子供が2人いる世帯では、東京郊外に賃貸住まいをし、車を持たずにいても、年収950万円では節約の日々。
衣類はファストファッション、化粧品はプチプラ商品にして、やっと貯蓄にお金を回せるといった世帯が少なくありません。
食材にこだわる、ミネラルウォーターを宅配してもらうなどを贅沢の範囲に入れるとしても、プチセレブのような暮らしをしている年収950万円世帯はいないに等しいといっていいでしょう。
子どもが成長するに伴い、教育費が家計を締め付けるようになるのも、都会に暮らす年収950万円世帯の傾向です。
給与所得控除
給与所得控除額は、年収ごとに割合が定められています。
例えば、年収360万円までなら、収入の30%に18万円を加算した額が控除される決まり。
年収660万円までなら、収入の20%に54万円が加算されるというように、年収の増加に従って給与所得控除額は減っていきます。
年収950万円の場合は、1000万円までの給与所得控除額に該当。
収入の10%に120万円が加算された額が、給与所得控除額です。
計算してみると、215万円が控除されることがわかります。
健康保険や厚生年金、雇用保険などの社会保険料も、控除の対象となります。
年収の14.22%ほどが年間の社会保険料の目安となり、年収950万円の14.22%を算出すると、約135万円が社会保険料の控除額とわかります。
所得税と住民税
給与の手取り額は、年収から所得税と住民税、社会保険料を差し引いた金額です。年収950万円の社会保険料は年収の14.22%なので、
950 × 0.1422 = 135.09
年間約135万円。
さらに所得税と住民税を差し引けば、基本の手取り年収を算出できます。
所得税の基礎控除は、38万円と決まっています。
年収によって異なる所得税控除額は、給与所得控除額に社会保険料控除額と所得税基礎控除額を加算した額です。
年収950万円の場合は、215万円と135万円に38万円を加算すれば、所得税控除額となります。
215 + 135 + 38 = 388
年収から所得税控除額を差し引けば、所得税の課税対象額。
950 – 215 – 135 – 38 =562
年収950万円の所得税課税対象額は、562万円です。
所得税額は、課税対象額ごとに決まっています。
695万円までの税率は20%で、控除額は42.75万円。
562 × 0.20 – 42.75 = 69.65
年収950万円の所得税額は、69.6万円になるという計算です。
住民税の税率は、自治体によって異なります。
標準税率の均等割5,000円、所得割10%で計算すると、大体の住民税額を算出できます。
住民税の基礎控除は33万円。
住民税控除額は、給与所得控除額に社会保険料控除額と住民税基礎控除額を加算します。
215 + 135 + 33 = 383
年収950万円の場合は、383万円が住民税控除額となります。
年収950万円から住民税控除額の383万円を差し引けば、567万円が住民税の課税対象額とわかります。
567万円の10%に均等割の5,000円を加算し、調整控除額2,500円を差し引けば、住民税額です。
567 × 0.1 + 0.5 − 0.5 = 56.95
年収950万円の住民税額は、56.9万円ほどと算出できます。
よって、
950(年収) − 135(社会保険) − 69.6(所得税) − 56.9 =688.5
年収950万円の手取りは、約688万円です。
配偶者控除など
配偶者がいる場合、配偶者の年収に応じて、所得税や住民税が減額される配偶者控除を受けることができます。
現在は配偶者の給与収入が103万円以下の場合、38万円の配偶者控除の対象となります。
2018年からは配偶者の給与収入が150万円以下なら38万円の配偶者控除対象となり、これまでより給与収入枠が拡げられる予定です。
共働きで、配偶者も201万円を超す年収を得るとなると、配偶者控除は受けられなくなります。
この他、16~18歳の高校生が子供にいる場合、扶養控除を受けることができます。
生命保険に加入している場合は、生命保険料控除を受けることも可能です。
利用できる控除は、利用したほうが節税できます。
年収950万円はどうお金を使っている?
年収950万円の世帯にも、夫婦だけの世帯、単身世帯、子供がいる世帯など、いろいろあります。
年収950万円の平均的な世帯が、どのようにお金を使っているか、見てみましょう。
家賃
年収950万円の世帯は、勤務地が東京という人は珍しくありません。
職業的には、開発エンジニアやサポートエンジニアといった技術系から、事業計画系、営業系マーケティング、コンサルタント系、プロジェクトマネージャーなどが多数。
日系グローバル企業や大手外資系ICTサービス企業、不動産系専門職技術系なども、年収950万円世帯に多い勤務先です。
これらの仕事の特徴として、土日祝日は休みでも、仕事内容はハードという傾向があります。
そのため、都心の勤務地に近い住居を選ぶ人が多く、そのぶん家賃が高額になりやすいのです。
世帯の構成を問わず、年収950万円世帯の家賃は、平均して月15万円前後。都心であればあるほど家賃は高くなり、子供のいる世帯では広めの住居を求めて東京郊外や近県に住まいを定めることもよくあります。
月15万円の家賃なら、年間にして180万円の支出です。
その他の出費
手取り収入から住居費を差し引いた分を全額生活費に回してしまえば、貯蓄に回す分がなくなります。
今はよくても、将来的に困るのは目に見えているため、なるべく貯蓄分を残しつつ、生活費の割り振りをすることが大切です。
あらかじめ、月々の貯蓄額を決めておき、残りを生活費に回している世帯は、やり繰り上手。
生活費を計算してから残った分を貯蓄に回すのでは、なかなか貯蓄額が増えない傾向があります。
主な生活費の支出としてあげられるのは、車両費、食費、水道光熱費、通信費、教育費、保険料、趣味・娯楽費、家族の小遣い、雑費など。
あまりカツカツに節約しすぎると生活にうるおいがなくなるため、適度に余裕を持たせながら家計管理をしていきたいところです。
気になる平均貯金額
総務省による2015年度の家計調査年報によると、夫婦2人・子供1人の世帯の平均貯蓄率は収入の19.9%でした。
年収950万円の世帯なら、手取り額約700万円の20%として、年間140万円の貯金をしていれば平均的といえることになります。
金融広報中央委員会による家計の金融行動に関する世論調査では、2016年度の2人以上世帯の調査結果として、平均貯金額が1069万円と発表されています。
これは、年収750万円から1000万円未満の世帯について。
貯金額がゼロの世帯は、全体の約16%存在していました。
年収950万円は幸福か否か
生活に余裕があるかといえば、余裕がないと答える人が多い、年収950万円世帯。
だから不幸だという単純な回答をする人こそいないものの、もっと自由に使えるお金があればいいのにと夢見る人が多いのは事実。
実際、年収950万円でも、衣類はファストファッションで済ませ、食費はなるべく自炊にするといった努力をしている世帯が多いのです。
贅沢といえば、休日には外出をしたり、年に一度、家族旅行に行く程度。
子供の教育費がかかって、それすらままならないといった世帯も少なくありません。
将来に備えて貯蓄をしておきたいものの、生活費で手一杯で貯蓄はゼロといった世帯も珍しくない昨今。
経済的にゆとりのある生活を幸福とするなら、何らかの手段で年収を増やす工夫をしてみるのも、一つの方法です。
最後に
年収950万円世帯の生活実態や平均貯金額について、参考になりましたでしょうか。
他の世帯もあまり貯蓄をしていないようだから、我が家も安心、などと油断は禁物です。
いつ何が起こるかわからないのが、人生というもの。
いざというときの備えとしても、将来の生活設計を豊かにするためにも、早いうちから貯蓄をしておくことは大切です。
そのためには、投資なども貯蓄を増やす方法として検討したいところです。
- 年収950万円でも、手取りは700万円以下で生活に余裕なし。
- 手取り給与は、所得税と住民税を社会保険料を差し引いた金額。
- 年収950万円の手取りは約688万円。
- 配偶者控除や扶養控除などは、利用しなければ損。
- 年収950万円の平均貯金額は、年収の約20%。