【年収1000万】実は損?手取り・税金から見るリアルな生活実態
年収1000万と聴けば、さぞかし裕福な生活を送っているのだろう、と考える人が多いでしょう。
しかし、実際は年収1000万の給与があると損な一面も…。
その原因として、税金の支払いがかさんでしまったり、住居費や教育費が高くなる傾向にあるからです。
今回は、手取り額や税金をチェックし、年収1000万の人たちのリアルな生活実態を見ていきましょう。
1000万円もの年収があっても、生活がラクラクとはいかない実態が見えてきますよ。
そうはいってもやはり年収1000万を目指したい人もいるでしょう。
そこで、年収1000万円の節税策についてもご紹介します。
Contents
年収1000万の職業とは?
まず、年収1000万円を稼げる人の職業をチェックします。
年収1000万円の職業は、主に
医師・弁護士・パイロット・大学教授...。
いずれも、人の命を預かったり、人生を左右したりする職業ですね。
男性が占める割合が高い職業が列挙されていますが、女性でも起業するなどで年収1000万円を実現することは可能です。
企業に勤めている人も含まれますが、自営業に該当する職業も少なからず見られます。
専門性の高い職種のため、企業に属さずとも高年収が得られるのです。
責任が重い職業だからこそ、年収も高くなっています。
年収1000万円の人は、ラクをして稼いでいるわけではありません。
年収1000万円の割合
では、年収1000万円の人はどのくらいいるのでしょうか。
割合をチェックしてみましょう。
年収1000万円以上の人の割合は、約4.1%とされています。
およそ25人に1人ですから、年収1000万円の人は限られていることがわかりますね。
年収1000万の職業として挙げた医師や弁護士、パイロットなどは、誰でも簡単になれるわけではありません。
多くの苦労をして資格試験に合格しないとなれない仕事ばかりです。
年収1000万の手取り額はいくら?
年収1000万円と言っても、税金が引かれれば手取り額は減ってしまいます。
裕福な生活ができるかどうかは、手取りが多いかどうかで決まりますよね。
そこで、年収1000万の手取り額をチェックしてみましょう。
年収1000万の場合、手取り額は650万円~720万円程度とされています。
年収1000万と聴くと、お金が余って仕方がなさそうなイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。
しかし、実際の手取り額だと700万円前後となってしまいます。
これは基本的な手取り額であり、配偶者が専業主婦で控除対象になる場合、家族の人数が多い場合は控除額も増え、手取りが多めにはなります。
もちろん十分生活できる高い手取り額ではありますが、気を抜いて使いすぎるとなくなってしまいそうな金額でもあります。
自営業なら社会保険料が天引きされないため、手取り額が多く感じられるでしょう。
しかし、結局は税金や保険料の負担があるので注意が必要なのです。
年収1000万が実は損と言われる理由は「税金」
年収1000万が「実は損」と言われることがある理由は税金です。
年収1000万には以下のような特徴があります。
・年収1000万だと課税額も多い
・所得税は累進税率なので負担大
このように税金の負担が重いことで、手取り額が減ってしまうのです。
税金には、所得税や住民税など様々あります。
高年収の人が特に損になる税金が、所得税です。
なぜなら、所得税は累進税率になっているからです。
所得税率は、所得区分が上がるにしたがって高くなっていきます。
所得が195万円以下ならわずか3%だった税率は、5%、10%、20%のように上がっていき、最高税率は45%。
所得税の累進税率が原因で、稼げば稼ぐほど、収入に占める税金の割合が多くなっていきます。
社会を支えるための税金とはいえ、せっかくの高収入が税金の存在で「実は損」になってしまう仕組みとなっています。
年収1000万の節税対策について
年収1000万の人が「実は損」状態を脱するには、節税対策が欠かせません。
そこで、年収1000万の人ができる節税対策をご紹介します。
・控除を徹底利用
・住宅ローン控除の利用が効果大
年収1000万円の人が節税する場合は、控除を徹底利用することが大切です。
基礎控除や給与所得控除、扶養控除などはすでに活用している人がほとんど。
忘れがちなのが、地震保険料控除や生命保険料控除です。
特に、生命保険料控除は医療保険や個人年金保険も控除対象になります。
死亡保障がついていない保険でも控除できるので、忘れずに控除申請を行ってください。
さらに控除額を増やしたければ、住宅ローン控除を利用してみてください。
住宅ローン控除は、控除額が大きくなる傾向があります。
大幅な節税を狙いたい、という人は、住宅ローン控除の利用を検討してみましょう。
実は損と言われる年収1000万の生活実態
「実は損」と言われてしまう年収1000万円。
では、年収1000万は実際、どのような生活を送っているのでしょうか。
実態を見てみましょう。
まず、すでにご紹介したように、年収1000万円だと手取りは年700万円前後です。
そこで、「年収700万円&ボーナスは年3か月分」と仮定して、月々の家計収支を見ていきます。
収入は、
700万円÷(12か月+ボーナス3か月)=約47万円
となります。
年収1000万円ともなると、通勤に便利な都心部、あるいは郊外に大きめのマイホームを持つケースが少なくありません。
家賃は月に10万円以上かかりますね。
子供がいる場合は、教育費も多めにかける傾向があります。
児童手当が所得制限の影響で減額されるなどの、デメリットもあります。
やはり親と同じ高年収を目指してもらうとなれば、学歴をつけるべく教育投資に積極的になるからです。
私立に通わせたり、塾や家庭教師を利用したりすることで、教育費が月10万円近くなることもあるでしょう。
さらに、食費や水道光熱費、自動車費用、趣味費用などを考えると、余裕資金はかなり少なくなります。
それでは、以下の試算を参照してください。
あくまでも平均的な家庭を想定しています。
妻は専業主婦で収入はゼロ、夫はサラリーマン(給与所得者)とします。
夫婦2人の生活であれば教育費がかからず支出は減ります。
独身者の場合はさらに支出が減って貯金可能額は増えそうです。
<収入> 給料:約47万円 <支出> 家賃:15万円(10万円~) 教育費:8万円(10万円弱) 食費:2.5万円 水道光熱費:1.5万円 自動車費用:3万円 趣味費用・小遣い:5万円 |
試算で示した項目だけでも、支出が35万円に上ります。
必要に応じて保険をかけたり、家電製品を購入したりすればさらに支出は増えます。
仕事上の付き合いが多い場合は、小遣いが月5万円では足りないでしょう。
外食が増えれば生活費もかさみます。
ビジネス上の付き合いであれば、削減できないケースもありますよね。
年収1000万円でも、家族がいれば月々10万円を貯金するのは難しそうです。
低年収の人と比べると良い生活はできていますが、すべてにおいてリッチな生活を楽しむことはできそうにありません。
もっとも、配偶者の年収も高い場合は世帯全体での家計余裕度は上がります。
年収900万台vs1000万
年収900万台と年収1000万で、どちらがお得なのかを考えてみましょう。
まずは、年収に占める所得税の割合をチェックします。
■年収900万円の場合
所得税額:66.1万円
所得税が年収に占める割合:7.34%
■年収1000万
所得税額:83.4万円
所得税が年収に占める割合:8.34%
年収が900万円から1000万円に増えると、所得税として徴収される割合が1%上がります。
さらに、多くの自治体が10%と定めている住民税も、累進税率ではないものの、年収が増えれば課税額が増えます。
年収1000万と900万では、税金を考慮すると手取りの差は100万円より小さくなることがわかりますね。
とはいえ、年収1000万の場合、年収900万よりも手取り額が多くなることは事実です。
無理に年収を減らす努力をするくらいなら、年収1000万の方が良いでしょう。
会社勤めであれば、年収を調節するというのは非現実的でもあります。
年収1000万は税金では損だが不自由のない生活はできる!
年収1000万円であれば、手取り額は700万円前後。
所得税が累進税率のため、高年収のわりに手取りが少ないように感じます。
年収1000万の生活はリッチなように思えるかもしれますが、住居費や教育費がかさむことを考えると、月10万円以上の貯金は難しくなります。
年収1000万でも裕福な生活を送れるわけではないとも言えますが、一般家庭と比べれば問問題なく生活ができます。
わずか4%に限られている年収1000万。
さらにリッチな生活を謳歌するにはさらに年収を上げましょう。
・「損」の原因は税金
・特に所得税は累進税率なので「損」の大きな原因に
・年収1000万なら手取り額は700万前後
・手取りを増やすには控除を積極利用して節税しよう
・住宅ローン控除は節税効果が大きめ
・年収1000万は年収900万より税金の負担割合が高い
・無理して年収1000万を目指しても手取り増は限定的